是枝監督とキュアロン監督から相思相愛コメントが到着!オスカー前哨戦のLA映画批評家協会賞授賞式レポート
作品賞:『ROMA/ローマ』/撮影監督賞:アルフォンソ・キュアロン監督
「一人の女性の、ある家庭のある時代を描くというとても個人的な物語がこれだけの人たちに受け入れられたのは驚きでした。観た人から、感情を大きく揺さぶられたという感想を聞いて、人間の経験というのはどこの国でも、どこの地域でも同じだということが感じられて、とても嬉しく思います。僕はフィルムメイカーなので、劇場での鑑賞体験が大好きだし支持する。それと同時に、多様性も重要だと思っている。映画館での大きなスクリーンでの視聴体験は、映像のクオリティと音のダイナミズムを体験できる。でも、自宅で好きな人たちと一緒に映画を観るというのは、とても親密な体験になると思う。映画祭で是枝監督とすれ違うたびに、お互いにたくさんの質問を聞きたがっていると感じているんだ。是枝監督は現代の最高の映画監督で、彼の演出プロセスについて聞きたいことがたくさんある。そして、彼が映画の中で掲げるメッセージについて学びたいと思っている。僕は彼の映画制作のプロセスにすごく感銘を受けているんだ。とても興味深いプロセスを採用して映画を作っているけれど、彼の演出プロセスは人間というものへの深い理解と慈悲深さが現れていると思う。是枝監督に、『あなたの大ファンです』と伝えて欲しい! いつも、彼と会ってじっくり話をすることを夢見ているんだよ」
外国語映画賞:『万引き家族』是枝裕和監督
「去年のテルライド映画祭でキュアロン監督と初めて会って、同世代だし近い感覚があるんじゃないかと思ったんです。壇上で一緒になることはあっても、じっくり話す時間はまだ取れていないんですが。お互いの作品の作り方に共感しつつ、もう少し突っ込んで聞いてみたいなと思っているんじゃないかな。僕もいろいろ聞きたいことがあります。先日、パームスプリングス映画祭のQ&Aで話した時は、すごく年配のお客さんが多かったんだけど、テーマをとても切実なものとして捉えてもらえたような気がしました。上映後に感想を言ってくださる方々の「この映画を理解したい」という強い気持ちが伝わってきました。アメリカの賞レースに参加するのは初めてですが、自分の作品がどこまで届くのだろうかと新鮮な思いで見ています」
『バーニング 劇場版』イ・チャンドン監督
「アメリカの観客にも、私の期待通りの形で届いていると感じています。最初に村上春樹さんの「納屋を焼く」を読んだとき、物語の曖昧さにとても惹かれました。シンプルで小さなミステリーを、この世界で我々の人生に起きている大きな物語として映画的に描くことができるのではないかと考えました。そして、苦悩、罪悪感、悲しみに苛まれる人間の姿が、ウィリアム・フォークナーの物語との関連性を感じました」