【第91回アカデミー賞】作品賞は『グリーンブック』、『ROMA/ローマ』は受賞ならず
現地時間2月24日(日本時間25日)に、ハリウッドのドルビー・シアターで開催された第91回アカデミー賞授賞式。見事作品賞に輝いたのは、『グリーンブック』(3月1日金公開)。最多10部門にノミネートされていたNetflix配信中の映画『ROMA/ローマ』は監督賞、外国語映画賞、撮影賞の三冠を受賞した。
『ボヘミアン・ラプソディ』(公開中)は、最多4部門に輝き、ラミ・マレックの主演男優賞、編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞。是枝裕和監督作『万引き家族』(公開中)や『未来のミライ』(18)は残念ながら各部門の受賞を逃した。
『グリーンブック』はマハーシャラ・アリの助演男優賞と脚本賞も合わせ三冠を受賞。本作では、人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、実在した黒人の天才ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)と、彼に雇われたイタリア系の用心棒兼運転手トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)との旅を描く。監督は『メリーに首ったけ』(98)などで知られるファレリー兄弟の兄・ピーターが務め、第76回ゴールデン・グローブ賞でミュージカル/コメディ部門の作品賞など最多3部門に輝いた。
司会者不在とされた今回のアカデミー賞だが、大勢の豪華プレゼンターたちによる司会リレーが大盛況。また、『ボヘミアン・ラプソディ』(公開中)をフィーチャーした、クイーンとアダム・ランバートによる「ウィ・ウィル・ロック・ユー」を皮切りに、レディー・ガガとブラッドリー・クーパー2人による『アリー/ スター誕生』の主題歌「シャロウ 〜『アリー/ スター誕生』」、ベッド・ミドラーによる『メリー・ポピンズ リターンズ』(公開中)の「幸せのありか」などの歌唱パフォーマンスが披露され、大いに盛り上がりを見せた。
受賞者のスピーチでは『ブラック・クランズマン』(3月22日公開)で脚色賞を受賞したスパイク・リーの力強いスピーチが印象的だった。
「私たちの先祖は400年前、アフリカからアメリカへ移住してきて、奴隷として朝も夜もなく働き続けました。母も奴隷でしたが、僕はニューヨーク大学を出してもらいました。先祖と私たちはつながっています。また大統領選が行われますが、みなさん歴史を正しい方向へ導いていきましょう。愛か憎しみか?我々は道徳的な選択をしなければいけません」と訴えかけた。
■第91回アカデミー賞受賞作一覧
【作品賞】『グリーンブック』
【監督賞】アルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』
【主演男優賞】ラミ・マレック『ボヘミアン・ラプソディ』
【主演女優賞】オリヴィア・コールマン『女王陛下のお気に入り』
【助演男優賞】マハーシャラ・アリ『グリーンブック』
【助演女優賞】レジーナ・キング『ビール・ストリートの恋人たち』
【脚本賞】ニック・ヴァレロンガ、ブライアン・カリー、ピーター・ファレリー『グリーンブック』
【脚色賞】スパイク・リー、ケヴィン・ウィルモット、チャーリー・ワクテル、デヴィッド・ラビノウィッツ『ブラック・クランズマン』
【撮影賞】アルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』
【編集賞】『ボヘミアン・ラプソディ』
【美術賞】『ブラックパンサー』
【衣装デザイン賞】『ブラックパンサー』
【メイクアップ&ヘアスタイリング賞】『バイス』
【視覚効果賞】『ファースト・マン』
【録音賞】『ボヘミアン・ラプソディ』
【音響編集賞】『ボヘミアン・ラプソディ』
【作曲賞】ルドウィグ・ゴランソン『ブラックパンサー』
【歌曲賞】“シャロウ ~『アリー/ スター誕生』愛のうた”『アリー/ スター誕生』
【長編アニメ映画賞】『スパイダーマン:スパイダーバース』
【短編アニメ映画賞】『Bao』
【外国語映画賞】『ROMA/ローマ』(メキシコ)
【長編ドキュメンタリー賞】『Free Solo(原題)』
【短編ドキュメンタリー賞】『ピリオド -羽ばたく女性たち-』
【短編映画賞】『Skin(原題)』
文/山崎 伸子