『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』公開直前インタビュー!監督イチ押しの見どころとは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』公開直前インタビュー!監督イチ押しの見どころとは?

インタビュー

『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』公開直前インタビュー!監督イチ押しの見どころとは?

国民的RPGゲームとして、幅広い層から支持されている「ドラゴンクエスト」シリーズ。その5作目にあたる「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」を原案にした3DCGアニメーション『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が、いよいよ8月2日(金)より公開となる。そんな本作を手掛けた八木竜一監督、花房真監督のお2人にインタビューを実施。製作時に苦労したエピソードや、見どころとなるポイントなどを語ってもらった。

八木竜一監督と花房真監督が語った本作の裏側とは
八木竜一監督と花房真監督が語った本作の裏側とは

――「ドラゴンクエスト」の映画化ということで、特にこだわった部分はありますか?

花房真監督(以下、花房)「もとのゲームがドット絵で描かれた世界なので、それがリアルになったとき、どのように受け取られるのだろう…という部分は、ずっと気になっていました」

八木竜一監督(以下、八木)「ドット絵なら、キャラクターたちはデフォルメされていても気になりませんが、本作では頭身が高くなっているので、容姿や服装もリアルに描かないと存在が浮いてしまうんです。例を挙げるなら、ゲームでは布1枚で描かれている衣装も、映画では3枚、4枚と重ね着をしている姿で描いています。危険な冒険なのに、薄い布1枚で出かける…なんてことはないですからね(笑)」

花房「それと、意識して見ないと分からないと思いますが、レベルアップを表現するために、主人公のリュカは物語が進むにつれ、少しずつマッチョになっていきます。ちょっと筋肉がついたかな?くらいの違いですが、見た目でも成長したことが伝わるように、演出や表現には気を使いました」

八木「あと、武器や防具は“使い込んでいる感”が出るように汚しを入れていますが、その際、靴の裏の汚れには特に気をつけました。アクションシーンなどで、ほんの一瞬見えたとき、そこがきれいなままだと、急にウソっぽく見えてしまうんですよ」

【写真を見る】リアルとCGアニメの良いとこ取り!服装やレベルアップ表現に隠されたこだわり<画像13点>
【写真を見る】リアルとCGアニメの良いとこ取り!服装やレベルアップ表現に隠されたこだわり<画像13点>[c]2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 [c]1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

――「ドラゴンクエストV」の物語を、映画の尺に収めるのは大変だったのでは?

八木「原作が壮大な物語なので、どこを削るかはものすごく悩みましたね。逆に、ゲームをやったことがない人がご覧になられた場合、要素を詰め込みすぎると焦点がぶれてしまう可能性もあるので、“親子三代のドラマ”という部分にクローズアップする形で、映画の尺に落とし込みました」

本作では“親子三代のドラマ”にクローズアップ
本作では“親子三代のドラマ”にクローズアップ[c]2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 [c]1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

――主人公リュカ役の佐藤健さんをはじめ、豪華声優陣も本作の見どころですが、キャスティングの経緯を教えていただけますか?

花房 「『ドラゴンクエスト』の主人公といえば、喋らないことで有名(?)ですが、さすがに映画で喋らせないわけにはいきませんからね。議論の末、あまりキャラクターを濃くせず、透明感のある存在として描けば、世界観を壊すことなく、主人公として立たせられるのではという結論に至りました」

八木「ちょっとドジなところもある純粋な青年で、本人はまじめなんだけど、リアクションがおもしろく、見ているとついつい笑ってしまう。そんな主人公のキャラクター像を考えたとき、映画『バクマン。』で観た佐藤健さんのお芝居がものすごくハマって。これは佐藤さんにお願いするしかないと思い、お声がけさせていただきました」

花房「佐藤さんはもともと『ドラゴンクエスト』シリーズの大ファンだったそうで、ふたつ返事で引き受けていただけました。収録時は、なよなよしたちょっと情けないシーンも、声を張り上げて戦う戦闘シーンも、感情豊かに演じていただき、まさに我々が考えていたとおりの形でリュカに命を吹き込んでいただけました。本当に、佐藤さんにお願いしてよかったと思っています」

魔物に連れ去られた母を取り戻すため旅に出た主人公、リュカ
魔物に連れ去られた母を取り戻すため旅に出た主人公、リュカ[c]2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 [c]1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

――収録は、実際に映像を見ながら行われたのですか?

八木「その時点ではまだ、映像は完成していなかったので、絵コンテを見ながらの収録でした。本作に限らず、我々が手掛けるCG作品では毎回、先に声を収録して、そちらをベースにアニメーションを作っていく手法を取っています」

花房「先に映像を仕上げてからの収録だと、芝居のテンションも、それに合ったものしか引き出せなくて…。けれど、先に声を録り、それに合わせてアニメーションを作り上げていく形にすれば、キャラクターの挙動も、よりリアルなものとして表現することができるんです」

八木「佐藤さんも、完成した作品をご覧になられた際は、ものすごく盛り上がってくださって。『映像と声が合わさった状態で見てみると、リュカになりきれてないシーンがあったので、もう一度、演じさせて下さい!』とも言っていただきました」

3DCGアニメーションで描かれる「ドラクエ」の世界
3DCGアニメーションで描かれる「ドラクエ」の世界[c]2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 [c]1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

――最後に、ユーザーに向けてお2人がオススメしたい本作の見どころを教えてください。

八木「CG作品を手掛ける際、つねに意識していることでもあるのですが、“映画のリアリティ”をしっかり定義して描き出す…というところに、本作でもこだわりました。映像作品におけるリアリティって、現実のそれとは敷居が違うんですよ。例えば、実写ならそんな高さから飛び降りたら間違いなく死んでしまうというアクションでも、CGアニメなら実現できてしまう。だからといって、その表現があまりにもアニメ的すぎると、『リアルじゃない』という評価になってしまう。その辺りを意識しつつ、大迫力でありながらリアルに感じられるアクションを詰め込んでいますので、ご期待いただけますと幸いです」

花房「ほんの少ししか出てこない場所も多いですが、僕は毎回、舞台設計を考えるとき、『その場所に行ってみたい』、『そこでいろいろ体験できたら楽しそう』と思ってもらえるような風景を作り出すことを念頭に置いています。本作にも“パパスの小屋”など、造形にこだわった建物や施設がたくさん登場しますので、注目していただけるとうれしいです」

豪華声優陣の熱演はもちろん、大迫力のアクションや、細部まで描き込まれた背景なども見どころの『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』。ゲームをプレイした人はもちろん、未プレイの人でもしっかりとその世界観に浸れる作品となっているので、是非スクリーンで、親子三代にわたる壮大な物語を堪能してほしい。

取材・文/ソムタム田井

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