日常の風景にロボットが…?ドラマ「ザ・ループ」の“ノスタルジックな”SF世界
リブート版「猿の惑星」シリーズで知られるマット・リーヴスが製作総指揮を務めるAmazon Prime Videoで配信中のオリジナルドラマ「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」(全8話)。
本作はスウェーデンのデジタルアーティスト、シモン・ストーレンハーグのイラスト集をベースにしたSFファンタジーだ。原作のイメージからインスパイアされたノスタルジックな世界観など、“ちょっと不思議”な本作の見どころを紹介したい。
「アベンジャーズ」監督コンビも注目の写実的なイラストが原作!
ストーレンハーグの作品は、写真のような超写実的な画風が特徴だ。FacebookやTwitterへの投稿を経て、2014年に「TALES FROM THE LOOP」を出版。その人気ぶりからシリーズ化され、3作目の作品集「エレクトリック・ステイト THE ELECTRIC STATE」は、「アベンジャーズ」シリーズのルッソ兄弟が映画化の権利を獲得している。
ドラマではオリジナルのスウェーデンから、アメリカの郊外の町へと舞台を移した。この町の地下には、「ループ」と呼ばれる巨大な謎の球体とそれを収める公的施設があり、宇宙の謎を解き明かすための研究が行われている。このループが原因で、町に暮らす人々が様々な影響を受け、奇妙な体験するという物語が展開される。一つひとつのエピソードは独立しており、主人公も変わるが、“ループ”というタイトルが示す通り、どこかでつながりがあり、物語の進行と共に、前のエピソードでは明かされなかった登場人物の内面も掘り下げられていく。
日常の風景にロボットがいる不思議な世界
本作の大きな特徴と言えるのが、日常の牧歌的な風景にロボットや浮遊する乗り物、不自然に建てられたディストピア感ある塔など、SF的要素が溶け込んでいるところ。これらのガジェットとループにどのようなつながりがあるのかはわからないが、相反するものが絶妙なバランスで組み合わさった光景にはどこか郷愁感があり、同時にこの作品をもっと観たいという好奇心もくすぐられてしまう。
誰もが胸を打たれる普遍的なテーマ
前述の通り、本作ではエピソードごとに主要人物が入れ替わり、それぞれが過去や現在、未来の問題と向き合っていく。それは、家族や友人といった人間関係に、移ろいやすい少女の恋心、セクシャルマイノリティの孤独など様々。ある老人と孫との絆の物語では、末期ガンの祖父の“死”を少年が不条理なものとして嘆くも、時間と共にそれを受け入れ、前へ進もうとする姿が描かれる。多くの人が経験する人生の通過点を、タイムトラベルや心の入れ替わり、時間停止に異次元世界など、SFのテーマに絡めることで、それらがより特別なものとして映り、心を静かに揺さぶってくるのだ。
非現実的な世界で誰もが共感できる物語を紡ぎだす「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」。時間の流れもゆったりとしていて、独特な世界観にじっくりと浸りながら鑑賞することができる。これからの展開にも期待大な本作に、ぜひ一度触れてみてほしい。
文/トライワークス
Amazon Prime Videoにて独占配信中