『戦火の馬』ジェレミー・アーヴァイン「人間と馬の関係はDNAに書き込まれているとさえ思える」

インタビュー

『戦火の馬』ジェレミー・アーヴァイン「人間と馬の関係はDNAに書き込まれているとさえ思える」

第一次世界大戦を舞台に、少年と馬の絆を描いたスティーヴン・スピルバーグ監督による感動ドラマ。原作は1982年にイギリスで出版された、マイケル・モーパーゴの小説で、トニー賞5部門に輝いた傑作舞台劇を映画化した。スピルバーグが主人公の少年アルバートに抜擢したのは、イギリス出身の無名の新人ジェレミー・アーヴァインだ。ジェレミーは本作が長編映画デビューとなり、ロンドン・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・ドラマ・アートで演技を学び、ロイヤル・シェークスピア・カンパニーの「ダンシネーン」を含む舞台作品に出演している。そんな彼のインタビューが届いたので紹介しよう。

――この映画のオーディションを受けた経緯を聞かせてください

「これがとても面白いんだ。新しいエージェントと契約して、確か、この『戦火の馬』のオーディションもそのエージェントが最初に持ってきてくれた話しの一つだった。スティーブン・スピルバーグがまずテープを見て気に入ってくれたけど、それからのプロセスは何週間もかかったんだ。だから、僕は待っている間に乗馬を習っておいた方が良さそうだと思って、乗馬レッスンに通ったり、自習を始めたりしたよ。結果的にやっておいて良かったけれどね」

――この映画のために行なったトレーニングについて教えてください

「僕たちは2ヶ月かけて、スペインのスタントマンたちと一緒に集中的な乗馬のトレーニングをした。彼らが乗馬している姿はすごかったよ。まるで馬と同化しているようだったんだ。僕は乗馬教室の馬で習っていただけから、基本的には、一から出直して習わなければならなかった。スクーターとF1カーほどの違いがあるからね。あの馬たちは本当に敏感なんだ。こうしてほしいと心で思うだけで、そういう動きをしてくれる。とびきりの馬だよ。僕らは本物の『ブラック・ビューティー 黒馬物語』や『シービスケット』に乗っていたんだ。その馬が今回の映画にもジョーイを演じた一頭として出ているよ。トレーニングだけでなく、本当にたくさんのリサーチにも没頭したよ。もともと第一次世界大戦には興味を持っていて、家には軍事用品のコレクションもあるんだ。ずっと興味を持っていた分野だよ。当時の兵隊の日記も読めたし、彼らの声を録音した資料もあった。あの戦争がどんなものだったのか聞くことができるんだ。家に持ち帰って、実体験した人たちが自らの体験を語っている声を聞いたよ。結局のところ、単なる役者の僕が、あの大変な時代を体験した男たちや子供たちの気持ちを理解できたなんて言うのは、彼らにとって失礼なことだと思うんだ。それは不可能だよ。僕らの世代には、これとちょっと似たものすら何もないからね。だけど、彼らの体験をほんの少しだけでも理解して、それを演技に入れようと思ったんだ。1%でも良いから出てくれれば本当に嬉しいな」

――武器の扱いは難しかったですか?

「どの武器の扱いも楽しかった。男子の典型かもしれないけど、さっきも言ったように、僕はこういう物を自宅で集めているくらいだからね。とにかく好きなんだ。昨日、僕は出番がなかったけど現場にいたよ。機関銃を撃つ音が聞こえて「これは行かなくちゃ」と思ってね。だから、うん、大好きなんだ。あと、現場には素晴らしい軍事歴史家がいた。彼が武器の使い方を教えてくれ、その背後にある話も教えてくれたよ」

――この物語で描かれている人間性と、それが観客に与える魅力について教えてください

「これが典型的な戦争映画でないということは、見てすぐに理解できると思うんだ。これは兵士たちが機関銃を持って走り回ったり、敵を殲滅させたりすることを描いた映画ではない。あくまでも登場人物たちを中心に展開され、その人物たちは、あの馬に影響を受けて心を通わせた様々な人々なんだ。この物語があらゆる世代の人々の心をとらえるのは、これが少年と馬の関係を描いたものだからじゃないかな。人間と馬の関係は何世紀も前に遡るものだし、ある意味、DNAに書き込まれているとさえ言えると思うんだ。何百年もの間、人間は馬の力に頼ってきたし、馬をまるで人間のように扱っていたんだ。愛犬とかペットとの関係について語る人はたくさんいるけれど、馬についてはそれとは一つレベルが違うんじゃないかな。だからこそ、この物語が多くの人々の心をとらえるんだよ」【Movie Walker】

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