『かぐや姫の物語』制作が遅れたのはAKB48が原因!?鈴木敏夫&西村義明プロデューサーが秘話明かす
日本映画史上空前の大ヒットを記録した宮崎駿監督作『もののけ姫』(97)のブルーレイが12月4日(水)より発売。リリースを記念して、12月2日にスペースFS汐留ホールで鈴木敏夫プロデューサーと、スタジオジブリ最新作『かぐや姫の物語』(現在公開中)の西村義明プロデューサーによる対談イベントが開催。“もののけ姫”と“かぐや姫”という2人の姫の誕生と、その制作秘話を語り合った。
宮崎監督と高畑監督の描くヒロイン像の違いについて聞かれると、西村プロデューサーは「高畑さんは、お客さんが『こうあってほしい』というものではなく、『実際はこうだ』というものを描く。人間は希望が叶えられることばかりじゃない。現実性をヒロインに経験させて、現実と映画を結ぼうとする映画を作っている」と分析。鈴木プロデューサーは「宮さん(宮崎監督)は、男は強いもので女性を守らなければいけないものと思っている。高畑さんのヒロインは、守られるべき存在じゃないよね。女性である前に、すくっと一人の人間として立っている。色々な考え方があるよね」とうなずいた。
宮崎監督も『かぐや姫の物語』を見たそうで、鈴木プロデューサーは「見終わった後、宮さんが難しい顔をして『この映画で泣くのは素人だよ』って言うんだよ。長い付き合いだけど、これは意味がわかんなかった」と苦笑い。さらには「宮さんは今、もくもくとチャンバラかなんかの漫画原稿を描いているけど、これまでにも増して緻密なもの」と近況を報告。どうやら、高畑監督の渾身作が宮崎監督を刺激した部分もあるのかもしれない。
またこの日は、スタジオジブリの大ファンを代表して、「SKE48」の松井珠理奈、松井玲奈も駆けつけた。『かぐや姫の物語』の感想として、珠理奈は「6回泣いた。私の喜怒哀楽の全てが出た」、玲奈も「かぐや姫が、鳥が鳴くと大きくなったりするところが好き」と目を輝かせてコメント。和やかにトークを進めるなか鈴木プロデューサーが、珠理奈に「君は気が強そうだよね」、玲奈に「君は優しそう。2人は好対照だね」と鋭い観察眼を披露するなど、大いに会場を沸かせていた。
最後には、西村プロデューサーが「ひとつ言いたい」と口火を切り、「色をチェックしている人間が、AKB48さんのファンで、色をチェックしないでAKB48のプロモーションビデオばかり見ていた。それで『かぐや姫の物語』の制作は遅れたんです」と暴露する一幕もあり、これには珠理奈も玲奈も目を丸くしていた。【取材・文/成田おり枝】