「火花」の林遣都らに又吉直樹が感謝「原作者として幸せ」
又吉直樹の第153回芥川賞受賞小説「火花」が、動画オンラインサービスNetflixのドラマとなり、6月3日(金)より世界190か国で全10話一挙に同時ストリーミング配信されている。それに先駆け、6月2日にZepp DiverCity TOKYOで完成披露試写会が行われ、林遣都、波岡一喜ら豪華キャストやスタッフ、原作者の又吉直樹が舞台挨拶を行った。
主演の林は「最強に頼もしい監督陣、寄り添ってくれたスタッフ陣、大好きなキャストと、この『火花』を残せたことは誇りに思うというか、一生自慢できる作品になりました」と力強く手応えを述べた。共演の波岡も「俳優で21年間やってきたものを全部出しきれたんじゃないかと」と充実感あふれる表情を見せた。
原作者の又吉は、ドラマの仕上がりに太鼓判を押す。「原作で書いてない部分で、すごくぐっと来ました。それがどういうことなんやと考えた時、これは僕だけのものじゃなく、みんなで一緒に見てた風景なんやなと、映像を観て気づいたんです。みんなで共有していた愛しい風景を、僕がたまたま文字にしただけ。原作者として、この作品に関われて、とても感動しています」。
実は6月2日は又吉の誕生日だったそうで「36年いろいろあって生きてきたけど、自分の頭で考えたものを自分で書いて、めちゃくちゃ才能ある人たちの手によって映像にしてもらえるのは、人生のご褒美かなと。みなさんに本当にお礼を言いたいです」と感謝した。
林は、世界に配信されることについて「僕も俳優を始めてちょうど10年になるんですが、10年やってきたすべてをこの作品にぶつけましたし、波岡さんと共に、これだけの人の前で、こんなに人を魅了した作品を海外に配信できるのがうれしくてたまらない。胸を張って、人生でいちばん幸せな日だと言えます。何よりも『火花』を生み出してくれた又吉さんに感謝しています」と感無量の様子だった。
舞台挨拶には林、波岡の他、門脇麦、好井まさお、村田秀亮、菜葉菜、徳永えり、高橋メアリージュンと、メガホンをとった廣木隆一監督、白石和彌監督、沖田修一監督、久万真路監督、毛利安孝監督、原作者の又吉の総勢14名が登壇。また、舞台挨拶前には、挿入歌を手掛けたSPICY CHOCOLATE、西内まりや、YU-Aが「二人で feat. 西内まりや&YU-A」を生披露し、会場を温めた。
「火花」は、漫才の世界に身を投じた青年たちの10年を通して、生きることの意味や人生の切なさ、愛おしさを描く。主人公のお笑い芸人・徳永役を林遣都が、徳永が憧れる先輩芸人・神谷役を波岡一喜が演じる。【取材・文/山崎伸子】