映画ランキング - 国内映画
(2024/1/19~2024/1/21)
2024年1月22日
発表(毎週火曜更新)
2024年1月19日~2024年1月21日に日本国内で上映された映画の観客動員数ランキングはこちら。『ゴールデンカムイ』『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』などがランクイン!(興行通信社調べ)
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集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+」で連載中の同名コミックを原作とするテレビアニメ「SPY×FAMILY」の劇場版。原作者の遠藤達哉が監修とキャラクターデザイン原案を手掛けたオリジナルストーリーで、テ···もっと見る
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戦時中にタイムスリップしてしまった女子高生と特攻隊員のせつない恋を描いた汐見夏衛の小説を実写映画化。『光を追いかけて』の成田洋一がメガホンをとり、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」の福原遥、「中学聖···もっと見る
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東野圭吾が1992年に発表した同名ベストセラー小説が原作で、登場人物全員が役者という設定のサスペンスミステリー。オーディション参加者のなかで1人だけ別の劇団に所属する久我和幸役を『禁じられた遊び』の重···もっと見る
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目玉おやじと水木の出会いと運命を描いた、水木しげる生誕100周年記念作品。鬼太郎の父を「鬼滅の刃」の鬼舞辻󠄀無惨役で知られる関俊彦、水木を「テニスの王子様」の木内秀信がそれぞれ演じる。また、龍賀家当···もっと見る
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アニメ「名探偵コナン」のテレビシリーズで劇場版27作目『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』のキーパーソンとなる怪盗キッドの登場回を再編集した特別総集編。「コナンvs.怪盗キッド」、「集···もっと見る
1月19日から1月21日の全国映画動員ランキングが発表。昨年末から首位を守り続けていた『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』(公開中)の5週連続1位を阻止したのは、2024年最初の邦画大作として公開前から大きな注目を集めてきた『ゴールデンカムイ』(公開中)だ。
全国393館(IMAX50館を含む)で公開され、初日から3日間の観客動員数は35万6186人。興行収入は5億3384万8690円を記録し、堂々たるヒットスタートを飾った『ゴールデンカムイ』。東宝の初日アンケートによれば、来場者の男女比はおよそ4:6と女性客がやや上回り、カップルや夫婦、ファミリー層など幅広い年齢層が集まっているとのこと。早くもリピーターが多数出ているようで、2月16日(金)からは全国60館で4DX版の上映も決定。さらなる成績アップが期待できそう。
2014年から「週刊ヤングジャンプ」で連載がスタートし、現在までのコミックス累計発行部数は2700万部を突破。2018年に放送がスタートしたテレビアニメ版も好評を博しており、その独特な世界観から「実写化不可能」とまで言われてきた本作。その“不可能”を可能にしたのは、「HiGH&LOW」シリーズを手掛けてきた久保茂昭監督。同作やMV監督としてのキャリアで培われたスピード感ある演出や、大勢の登場人物を巧みに捌くスキルは本作でも健在のようだ。
先述の東宝のアンケートによれば、来場者のおよそ半数にのぼる47.3%が原作ファンであると回答しているという。そのうえで、全体の96%から高い満足度を獲得しており、原作ファンの心をしっかりと掴んだ実写映画化であることが窺える。SNSなどに寄せられている感想を見る限り、やはりその決め手となっているのは原作の再現度。北海道の圧倒的な大自然と、ヒグマの恐ろしさ、登場人物たちの個性など、本作の要となる部分がしっかり再現されており、もちろん久保監督作品の醍醐味である肉弾戦盛りだくさんのアクションシーンも炸裂。
そして、これまで様々な“実写化不可能”に挑んできた山崎賢人が演じる杉元にも高評価が多数。どんな役柄にも染まることができる役者としての成長はもちろん、鍛え抜かれた身体能力を活かす役柄と、「キングダム」シリーズの成功を経て山崎への信頼度はますます高まりを見せているように思える。このまま本作もシリーズ化の道を歩めば、「キングダム」と双璧を成す山崎の代表作となるにちがいない。
ところで最近の邦画実写映画のヒット作の傾向として興味深いのは、具体的な土地に根ざした作品が増えていることだ。横浜を舞台にした『TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜』(23)や広島を舞台にした『ミステリという勿れ』(23)、さらに埼玉ネタで盛り上がった「翔んで埼玉」シリーズと、いずれも“聖地巡礼”を兼ねたイベントやキャンペーンが展開するなど、舞台となった土地ぐるみで作品のヒットに貢献している。
北海道を舞台にした今作でも、全国の上映劇場の集客数トップ10のうち4館を北海道の劇場が占めるという異例の盛り上がりを見せている。アニメ作品の聖地巡礼がそれぞれの地域経済の発展に寄与したように、今後は実写映画でもこのような傾向が増えていくのだろうか。
さてランキングに戻ると、2位から10位にかけては前週の1位から9位の作品が並んでいるのだが、その順位の変動は目まぐるしいものがある。公開5週目にして2位となった『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』は、この週末3日間で動員18万9900人、興収2億6100万円を記録。累計成績では動員389万人、興収52億円と、まだまだこの勢いは持続しそうだ。
注目は『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(公開中)が、前週の4位からワンランクアップでトップ3に返り咲きを果たしていること。週末3日間の成績は動員14万4000人、興収1億8800万円と、まもなく公開から2か月が経とうとしているなかで前週を上回る成績を記録。累計成績では動員274万人、興収34億円を突破。これは2001年以降に公開された松竹配給の邦画劇映画において、『おくりびと』(08)の興収64.8億円、『武士の一分』(07)の興収41.1億円に次ぐ第3位の成績となる。
これだけ根強い人気の背景には、原作がTikTokで話題を集めてベストセラーになったのと同様、InstagramやTikTokで若者を中心に口コミが広がっていることがある。ちょうどアメリカでも現在、同じようにSNSでの口コミをきっかけに青春ミュージカル『Mean Girls』(こちらは2004年制作のオリジナル版の本編がTikTokで分割配信されたことも話題を集めた)やラブコメ映画『Anyone But You』が大ヒットを記録している。長らく言われている“若者の映画離れ”という話を払拭するこれらの現象。映画界のマーケティングに大きな変化をもたらすことになるだろう。
公開6週目を迎えたディズニーの『ウィッシュ』(公開中)も、前週からワンランクアップの4位にランクイン。こちらは累計成績で動員234万人、興収31億円に到達。そして前週8位に初登場を果たした綾野剛主演の『カラオケ行こ!』(公開中)は、各レビューサイトでの高評価を受けて土日共に前週対比プラスの動員成績を記録。ランキングでも7位に浮上しており、こちらもじわじわと成績を伸ばしていく可能性が高そうだ。
以下は、1~10位までのランキング(1月19日〜1月21日)
1位『ゴールデンカムイ』
2位『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』
3位『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
4位『ウィッシュ』
5位『ある閉ざされた雪の山荘で』
6位『アクアマン/失われた王国』
7位『カラオケ行こ!』
8位『ゴジラ-1.0』
9位『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
10位『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』
今週末は、山田涼介と浜辺美波が共演するラブストーリー『サイレントラブ』(1月26日公開)、竹内涼真主演のサバイバルドラマシリーズの初の映画版となる『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』(1月26日公開)、そして第96回アカデミー賞の有力候補の一角として注目を集めている『哀れなるものたち』(1月26日公開)などが公開を控えている。
※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記
文/久保田 和馬
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