映画ランキング - 国内映画
(2024/6/28~2024/6/30)
2024年7月1日
発表(毎週火曜更新)
2024年6月28日~2024年6月30日に日本国内で上映された映画の観客動員数ランキングはこちら。『映画 それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』『ルックバック』『ディア・ファミリー』などがランクイン!(興行通信社調べ)
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1988年に放送が開始した、やなせたかし原作のテレビアニメの劇場版第35作。アンパンマンとばいきんまんが力を合わせて、絵本の世界を守るため、強敵に立ち向かう姿を描く。絵本の世界に住む森の妖精ルルンを『···もっと見る
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6月28日から6月30日までの全国映画動員ランキングが発表。やなせたかし原作の国民的アニメ「それいけ!アンパンマン」の劇場版第35作となる映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』(公開中)が初登場でNo. 1を獲得。「それいけ!アンパンマン」の劇場版が動員ランキングで首位に立つのは、35年の歴史で初めてのこととなる。
初日から3日間で動員13万7000人、興収1億7200万円を記録した映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』。この成績は、昨年公開され最終興収5億2000万円を記録した『それいけ!アンパンマン ロボリィとぽかぽかプレゼント』(23)対比152%と抜群。現時点のシリーズ最高記録である『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星』(18)の興収6億5000万円超えも狙えるスタートを飾った。
なによりも注目は、冒頭でも述べたように“動員ランキング初登場首位”を達成したことだろう。例年、夏休み興行が本格化する直前のタイミングで公開されている本シリーズ。作品のメインターゲットの年齢層が低いこともあり、必然的に親子2人以上の動員が見込める一方、どうしても客層がかなり限定的なこと。おおむね上映時間が短く通常の映画よりも回転率が良い一方で、客層に合わせて午前中などの早い時間にしか上映回を設けていないこと。こうした一長一短がありながら、あくまでも乳幼児の“映画館デビュー”という役割を貫いてきたなかでの今回の快挙となった。
今作では、絵本の世界へと吸い込まれたばいきんまんが、アンパンマンと力を合わせて大冒険を繰り広げていくという物語が展開。配給元である東京テアトルの関係者は「制作者・声優の皆さまがすばらしい作品を仕上げてくださり、関係各位の多大なご協力を得て今回の大ヒットスタートに繋がりました。『映画アンパンマン』のメインターゲットは2歳~4歳と言われていますが、実際に劇場にいらしたお客さまを見ると4歳以上の大きなお子さまの来場が例年より多く、また大人のみでお越しくださる方もいて、“アンパンマンとばいきんまんが力を合わせる”というエピソードが幅広い年齢層に響いているのを実感しています」と喜びのコメントを寄せている。
このコメントからもわかるように、普段は宿敵同士であるアンパンマンとばいきんまんの関係の変化が作品のヒットに大きく貢献しているようだ。というのも、先述した『かがやけ!クルンといのちの星』や、シリーズ22年ぶりに興収5億円を突破した『それいけ!アンパンマン よみがえれ バナナ島』(12)も、両者の協力関係が描かれた作品。また、『よみがえれバナナ島』の後の『それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ』(13)と『それいけ!アンパンマン りんごぼうやとみんなの願い』(14)も同様で、この3本は現在も続くシリーズの人気再燃の大きなきっかけとなった。
“いつもと同じ”が愛されるゆえんの国民的シリーズではあるが、劇場版という特別なタイミングでは“いつもと違う”ことが間口を広げ、新たな層(本シリーズの場合は一度離脱した層といってもいいだろう)にリーチしてヒットにつながる。もちろん『クルン〜』以前に最高成績を収めていたのは『それいけ!アンパンマン ばいきんまんの逆襲』(90)であり、これらを踏まえれば「それいけ!アンパンマン」シリーズのヒットのカギは、ばいきんまんが握っているということになるだろう。
2位に初登場を果たしたのは、アニメ版も大好評を博した「チェンソーマン」の藤本タツキによる同名の読切漫画をアニメ映画化した『ルックバック』(公開中)。初日から3日間で動員13万5000人、興収2億2700万円と、興収では1位の『映画 それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』を上回る好成績を収めている。
学年新聞で4コマ漫画を連載していた小学4年生の藤野が、ある日不登校の同級生の京本と出会い、“漫画づくり”を通して心を通わせていく姿を描いた本作。藤野の声を担当したのはテレビドラマ「不適切にも程がある!」で大ブレイクを果たし、主演映画『あんのこと』も公開中の河合優実。京本役は『カムイの歌』(24)の吉田美月喜が務めている。
上映館数は120館弱と少なめではあるが、上映時間が1時間に満たないということもあり、1日の上映回数が多く取られていることが動員アップにつながったと考えることができる。もちろん作品のクオリティの高さや、原作ファンを中心とした口コミの効果も大きく、そういった点からも短い上映時間であることと上映時間の多さが原作を知らない観客に足を運んでもらうための一助となっているといえるのではないだろうか。作品の話題性も含め、ロングヒットも狙えそうだ。
そして2週連続で1位を守っていた大泉洋主演の『ディア・ファミリー』(公開中)は、週末3日間で動員10万7000人、興収1億4900万円を記録して3位にランクイン。累計成績では動員66万4000人、興収9億8000万円と、大台突破も目前。また前週2位に初登場した『九十歳。何がめでたい』(公開中)も週末3日間で動員9万7700人、興収1億2300万円を記録。累計成績では動員37万4000人、興収4億6800万円を突破している。
他に新作では、「クワイエット・プレイス」シリーズの最新作にしてすべての始まりが描かれる『クワイエット・プレイス:DAY 1』(公開中)が5位に。SixTONESの京本大我を主演に迎え、同名の台湾映画をリメイクした『言えない秘密』(公開中)は6位に初登場を果たした。
以下は、1~10位までのランキング(6月28日〜6月30日)
1位『映画 それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』
2位『ルックバック』
3位『ディア・ファミリー』
4位『九十歳。何がめでたい』
5位『クワイエット・プレイス:DAY 1』
6位『言えない秘密』
7位『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』
8位『バッドボーイズ RIDE OR DIE』
9位「映画『おいハンサム!!』」
10位『帰ってきた あぶない刑事』
今週末は、マイケル・マン監督がアダム・ドライバーを主演に迎え、F1界の帝王と呼ばれたエンツォ・フェラーリの激動の一年を描いた『フェラーリ』(7月5日公開)、奈緒が主演を務め鳥海茜の同名漫画を実写映画化した『先生の白い嘘』(7月5日公開)などが控えている。
文/久保田 和馬
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