つぶらな瞳の殺人椅子『キラーソファ』など、「未体験ゾーン」“延長戦”の注目作はコレだ!
まだ日本で紹介されていない世界の話題作を上映する、劇場発の映画祭「未体験ゾーンの映画たち」。9回目となる今年も多種多様なラインナップがそろっている。本日6月19日からヒューマントラストシネマ渋谷にてスタートした「未体験ゾーンの映画たち2020 延長戦」より、ソファが人を襲う(?)怪作ホラーなど、注目作をピックアップしてみた。
拳だけで戦う男たちの金網デスマッチ!
筋骨隆々でいかにも“悪”という風貌の男たちの血肉沸き上がる肉弾戦が堪能できる『デスマッチ 檻の中の拳闘』(18)。元海兵隊員のアールは仕事がなく、妻と二人の息子と共に空き家を転々とする暮らしを続けている。一方、麻薬の密売人をしているアンガスも、妹を高圧的に支配しながら破滅的な日々を送っていた。そんなアールとアンガスには共通の目的が。それは檻の中で行われる拳だけで戦う伝説のデスマッチに出場し、賞金10万ドルを手に入れること。底辺の生活から抜け出すため、彼らの生死を懸けた戦いが始まる…。
生々しい拳と拳のぶつかり合いが見どころの本作。アール役に『ロケットマン』(19)でエルトン・ジョンの音楽パートナーを演じたジェイミー・ベル。さらに、アンガスを「キャプテン・アメリカ」シリーズや『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)でのクロスボーンズ役などで知られるフランク・グリロ、彼の妹デリアを『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)のヒッピー少女役で注目を集めたマーガレット・クアリーが演じる。明日も見えない現実にもがき苦しむ三人の姿を通して、アメリカ社会に根付くリアルな暴力をあぶり出していく。
美女に恋したソファが殺人鬼に変貌?
ソファが人を襲う?という、見た目や設定からしてインパクト大なニュージランド発のホラー『キラーソファ』(19)。事件に巻き込まれ行方不明になった知人の一人掛けソファを譲り受けたフランチェスカ。しかし、そのソファは呪われていて、美しい彼女に恋してしまう。フランチェスカの身も心も独占しようとするソファは、彼女の家を訪れる男たちに次々と襲いかかる…。
つぶらなボタンの瞳にとぼけた表情など、キュートな印象を与えるソファだったが、フランチェスカへの偏愛から陰湿に彼女を追いつめていく。その殺害方法も残忍で、内蔵されたバネで標的を刺し殺し、リクライニングなどの機能をうまく使って死体をベランダから突き落とすなど、驚くべき機動性も見せている。
深夜病棟で警備員に降りかかる身の毛もよだつ恐怖とは?
『モルグ 死霊病棟』(19)は、深夜の病棟で想像を絶する恐怖に直面した警備員の運命を描いたパラグアイ発のスリラーだ。警備員のディエゴは恋人と電話をしながら車を運転し、誤って人を轢いてしまう。気が動転し、逃げるようにその場を去ったディエゴ。そんな彼に急遽、臨時で病院の夜勤警備の仕事が入る。簡単な仕事だと思っていたが、監視モニターになにかが映り、奇妙な物音も気になり始める。それらを確かめようと行き着いた死体安置所で、ディエゴは正気を失うほどの恐怖を体験することに…。
深夜の病院というだけで十分怖いのに、主人公に降りかかる不気味な現象の数々や、得体の知れない“なにか”が突然現れるなど、とにかく心臓はバクバク。しかも、実話がベースになっているということから、恐怖はいっそう増してくる。本国では、『IT イット THE END″それ″が見えたら、終わり』(19)や『アナベル 死霊博物館』(19)を超える大ヒットを記録しており、すでにハリウッド・リメイクも決定しているそうだ。
このほか、ディーン・フジオカが出演するベルギー・日本の合作映画『ダンスダンスダンス』(16)と『バードソング』(19)が同時上映されるほか、『ドント・ブリーズ』(16)のスティーヴン・ラング演じる退役軍人が大勢のジャンキー軍団を血祭に上げる『VETERAN ヴェテラン』(19)、ブルース・ウィリスが復讐に燃える捜査官を演じる『THE LAW 刑事の掟』(19)といったクセの強いタイトルが名を連ねる。気になる作品を見つけて、ぜひチェックしてみてほしい。
文/平尾嘉浩(トライワークス)