大倉忠義と成田凌『窮鼠はチーズの夢を見る』でお互いに感じた“色気”と“かわいさ”
大倉忠義と成田凌が、傑作コミックを映画化した『窮鼠はチーズの夢を見る』(9月11日公開)で狂おしくもせつない男性同士の恋を紡いだ。メガホンを取った行定勲監督は「大倉は、感情を画に映らない色気で伝えることができる」、「成田が演じる今ヶ瀬はとにかくかわいかった」と、2人の役へのハマり度を絶賛。男性同士の恋を体現することに「抵抗はなかった」という大倉と成田は、「お互いの存在があってこそ、自然な空気のなかで演じることができた」と声を揃える。安心感と信頼感に包まれながら演じ切った2人が、お互いに感じた“色気”と“かわいさ”。そして本作で得たものを明かした。
「僕自身、ハッとさせられるセリフがあった」(大倉)
人を好きになることの純粋な喜びや痛みを描いた水城せとなの漫画「窮鼠はチーズの夢を見る」、「俎上の鯉は二度跳ねる」を映画化した本作。受け身の恋愛を繰り返してきた恭一(大倉)と、彼を一途に想う今ヶ瀬(成田)の恋を描く。
多くの支持を集めている原作だが、大倉は「絵も美しく、哲学的なセリフにあふれている。作中で、今ヶ瀬の言う『心底惚れるって、すべてにおいてその人だけが例外になっちゃうってことなんだ』というセリフがあるんですが、それには僕自身ハッとさせられるものがありました。きっと読む人によってお気に入りのセリフやシーンも違うだろうし、原作が人気を集めているのは、“男同士の恋を描いているから”ということだけではないと思いました」とその魅力を吐露。
成田も「原作の今ヶ瀬は(映画より)もっと明るいテンションだったりするんですが、原作の本質を失わずに、実写として、人間が演じるからこそ生まれる魅力とはどんなものだろうと考えていました。『頑張らなきゃな』と気合いが入りましたね。『これ、どうやって描いているんだろう!』と思うくらい絵が美しいので、原作の今ヶ瀬のフォルムに少しでも近づきたいなと思っていました」と原作の持つパワーにも背中を押されたという。
「大倉くんの“皮膚感”がすごくいい」(成田)
濃密なラブシーンも伴う関係性で初共演を果たした2人。「自然な空気のなかで演じることができた」と語るなど、撮影現場で過ごす時間は心地よいものだったという。流されるような恋愛ばかりしてきた恭一役の大倉は「恭一は、今ヶ瀬の恋心を受け入れてないところから始まって、だんだんと受け入れていく。そういった意味では、ラブシーンも成田くんが先陣を切ってくれるので、僕は恭一の気持ちのまま演じることができたのではないかと思っています」と笑顔。さらに「成田くん演じる今ヶ瀬には、恭一が好きになっていくような説得力がありました」と語る。
行定監督は、大倉=恭一の“色気”、成田=今ヶ瀬の“かわいさ”を絶賛していたが、その評価に対してお互いの感想はいかがだろうか。
「今ヶ瀬はかわいかったですよ」と口火を切った大倉は、「もちろん、成田くんにはいろいろな面があると思うけれど、やっぱり役柄にはどこか、演じる人自身の持ち合わせているものが出るなと思います。完成した映画を観て、普通に会話をしているシーンにしても『今ヶ瀬、かわいいなあ』と思う部分がありました」。
「大倉くん、本当にかっこいいんですよ。すごく広い心を持っている」と大倉の魅力に惚れ惚れしたという成田は、彼のタッチに色気を感じたという。「“皮膚感”がすごくいいんです。こういった作品で共演する場合、皮膚感の相性ってすごく大事なことだと思っていて。ほかにも“目を合わせている2人を見て、彼らの気持ちが伝わる”とか、そういったところに、実写でやるからこその意味が出るのかなと思っています」と語り、「撮影の終盤になると、『ああ、終わっちゃうんだなあ…』とさみしく思っていました」と愛おしい時間を振り返っていた。