11月17日は「将棋の日」!『聖の青春』から『AWAKE』まで近年の将棋映画を振り返る
藤井聡太二冠の活躍もあり、昨今の日本は空前の将棋ブーム。そんな気運に乗るかのように、ここ数年で様々な将棋映画が作られている。そんな将棋映画の最新作で、2015年に将棋ファンやネットユーザーの間で物議を醸した棋士vsコンピューターの対局「電王戦」に着想を得た『AWAKE』が、12月25日(金)より公開される。本日、11月17日は日本将棋連盟が制定する「将棋の日」ということで、近年の将棋映画を振り返ってみたい。
羽生善治と渡り合った薄命の棋士の生涯を描く『聖の青春』
2016年には、かつて羽生善治を追い詰めた実在の棋士、村山聖のわずか29年の生涯を描いた『聖の青春』が公開された。「東の羽生、西の村山」と並び称されながら、幼いころから病と闘い、将棋に全人生を懸け、全力で生きた村山の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルとの友情を交えながら映す感動作だ。松山ケンイチが体重を増やして村山を演じ、その最大のライバル羽生役に挑んだ東出昌大の徹底した役作りも話題を呼んだ。
孤独な少年棋士の成長を映しだす『3月のライオン』
テレビアニメ化もされた羽海野チカの人気コミックを、「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督が神木隆之介主演で実写化した『3月のライオン』も前後編で2017年に公開されている。中学生でプロ棋士としてデビューした孤独な主人公・桐山零が、彼を温かく迎える三姉妹との交流を通して成長していく姿が描かれる。三姉妹を倉科カナ、清原果耶、新津ちせが演じ、桐山のライバルである二海堂を特殊メイクによってまるで別人に変身した染谷将太が熱演した。
35歳でプロ棋士になった男の実話『泣き虫しょったんの奇跡』
2018年になると、35歳でプロとなり、将棋界のルールを変えた瀬川晶司の実話が『泣き虫しょったんの奇跡』として松田龍平主演で映画化されている。26歳という年齢制限の壁にはばまれ、一度はプロへの道をあきらめた男が、周囲の支えを受けながら改めて将棋の楽しさを実感し、再び夢に向かって突き進んでいく。『青い春』(01)などで松田とタッグを組んできた豊田利晃が監督を務めた。
挫折した青年がAI将棋のプログラミングに新たな道を見いだす『AWAKE』
そして、本年末に公開されるのが『AWAKE』。同世代のライバルとの実力差を痛感し、プロ棋士の道を断念した青年が、AI将棋のプログラミングに新たな道を見いだしていく。『青くて痛くて脆い』(20)などに出演し、2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」主演も決まっている吉沢亮が主人公の英一役を務め、内気だが熱中すると周りが見えなくなるぐらいにのめり込む様子を好演。このほか、若葉竜也、落合モトキ、寛一郎、馬場ふみからが共演し、乃木坂46のミュージックビデオなどを手がけてきた山田篤宏監督が、自らのオリジナル脚本で商業映画デビューを飾る。一度は夢に破れたものの、新たな夢に向かって前進する英一の姿から、挫折が人生の結末ではないことを教わることができる。
ここで紹介した作品に共通するのは、将棋の世界を通して、主人公の成長や深い人間ドラマが描かれていること。それらはきっと、たとえ将棋を知らなくても、しっかりと観る者の心に響いてくるはず。もし、いまなにかで悩んでいるのなら、これらの将棋映画にそっと背中を押してもらってみては?
文/トライワークス
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