“実写版ドラえもん”ことブルース・ウィリスが宇宙へ…『アンチ・ライフ』で謎の生命体と戦う!
地球を飛び立った宇宙船を舞台に、正体不明の“なにか”との壮絶なバトルが繰り広げられる『アンチ・ライフ』(公開中)。本作で頼れる元軍人の男を演じるのが、ハリウッドのレジェンド、ブルース・ウィリスだ。今年3月に66歳を迎えるが、現役バリバリでアクション映画に出演し続けるウィリスの活躍を中心に本作を紹介したい。
時は西暦2242年、謎のウイルスの感染拡大によって地球は滅亡の危機に陥っており、選ばれた5000万人の富裕層は“ニューアース”と呼ばれる別の惑星への避難を開始していた。宇宙船は元軍人と現役兵士によって構成される部隊に管理されており、恋人の手引きで船の一つに潜り込んだノア(コーディー・カーズリー)は、クレイ(ウィリス)という男の下で働くことになる。そんな時、船内で殺人事件が発生。しかも、その手口はどう見ても人の手によるものではない…。こうして、クレイ率いる元兵士軍団と正体不明の敵との人類存亡を懸けた戦いの火蓋が切って落とされた。
約30年にわたって活躍し続ける不屈のアクションスター
ウィリスと言えば、「ダイ・ハード」シリーズのジョン・マクレーン役などでアクションスターの地位を確立し、『12モンキーズ』(95)や『フィフス・エレメント』(97)といった作品で世界を救う男を演じることもしばしば。M・ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』(99)ではシリアスな演技も披露しており、その演技力も高く評価されている。
近年では、「RED レッド」シリーズや『サロゲート』(09)、『エクスペンダブルズ2』(12、前作にもカメオ出演)、『LOOPER ルーパー』(12)、『デス・ウィッシュ』(18)といった作品に出演。さらに、シャマラン監督の『アンブレイカブル』(00)の主人公で、不死身の肉体を持つ“監視人” デヴィッド・ダンを『スプリット』(17、クレジットなし)、『ミスター・ガラス』(19)でも演じるなど、2000年代、2010年代に入っても出演作の数は衰えていない。また、ソフトバンクのCMで実写版ドラえもんにも扮しており、そのお茶目な姿に彼への印象がガラリと変わってしまった人もいるかもしれない。
ついつい『アルマゲドン』との類似性を意識してしまう『アンチ・ライフ』
そんなウィリスの活躍が拝める新たなSFアクションが『アンチ・ライフ』。しかも、物語の舞台が宇宙ということで、彼のファンならマイケル・ベイの約20年前の大ヒット作『アルマゲドン』(98)との類似性を意識してしまうはず。とはいえ、謎の生命体との戦いを描く前者と地球に接近する巨大隕石の破壊に挑む後者は、毛色がまったく異なる作品。
ただ、本作でウィリス演じるクレイは、『アルマゲドン』のハリー・スタンパーよろしく、ぶっきらぼうだけどいざという時に頼りになるリーダーシップのある男なので、このようなキャラクターのハマりっぷりを再確認できる作品となっている。
若者をあと押しする姿が熱い哀愁漂うヒーロー
クレイはつかみどころのない人物だ。経歴はあまり語られず、退役軍人で顔も広いようだが、訳あって船内の掃除といった雑用を担当している。また、主人公であるノアが座っていた席を「そこは俺の席だ」と言ってどかし、同僚となった彼に面倒な仕事を押し付けるなど、少し嫌な奴でもある。一方で、ノアが重罪である密航者だと知った時には、「俺を巻き込むな」と怒鳴って文句を言いながらも、なんだかんだ秘密を守ってくれる情に篤い一面も持っている。
そして、いざ事件が発生すると雰囲気が一変。人間に寄生し、ゾンビのようにしてしまう謎の生命体による感染が広がるなか、仲間を率いるリーダーの気質を徐々に発揮していく。密航者であることがばれ、銃を突きつけられるノアを庇い、事態の対処を巡って迷走する上官に物申す場面も。兵士が次々とゾンビに変貌し、追い詰められても冷静さを失うことはなく、火炎放射器で彼らを撃退。恋人を守ろうとするノアを手助けし、あと押しするなど、心強い存在として描かれている。
『ディープ・ブルー』(99)や『ミスト』(07)などで知られ、本作には宇宙船を指揮するアダムス提督役で出演するトーマス・ジェーンとの共演もうれしい『アンチ・ライフ』。ウィリスの活躍を追い続けてきた人、最近は疎遠になってしまった人も、彼の現在値を知るうえで抑えておきたい作品だ。
文/平尾嘉浩
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