『アモーレス・ペロス』『最強のふたり』…『わたしの叔父さん』へと続く東京国際映画祭グランプリの系譜
3月26日(金)に最新作『旅立つ息子へ』が日本で公開されるイスラエルの名匠ニル・ベルグマンは、第15回(2002年)の『ブロークン・ウィング』(02)、第23回(2010年)の『僕の心の奥の文法』(10)で2度のグランプリに輝いた唯一の監督。2011年の第24回では『最強のふたり』(11)が選ばれており、フランス本国はもちろん、日本でも興行収入16億円超えのヒット作となったことを覚えている人も多いはず。
第27回(2014年)では、ジョシュア・サフディとベニー・サフディの兄弟コンビによる『神様なんかくそくらえ』(14)がグランプリと最優秀監督賞とのW受賞を達成。ニューヨークの路上で暮らすホームレスの女性とその恋人の関係を描いた作品で、ドラッグや自殺未遂が絡む退廃的なストーリーが、主演のアリエル・ホームズの実体験に基づいていることも話題になった。
サフディ兄弟は本作で知名度を上げ、ロバート・パティンソンが主演を務め、第70回カンヌ国際映画祭のパルムドール候補にもなった『グッド・タイム』(17)や、アダム・サンドラーがギャンブル中毒の宝石商を演じたNetflix映画『アンカット・ダイヤモンド』(19)といった個性的な作品を発表。昨年は、HBOと2年間、映画とテレビをプロデュースするファーストルック契約を結んだこともニュースとなった。
青年と少女がともに悲しみを乗り越えていく感動作
第31回(2018年)は、『アマンダと僕』(18)がグランプリと最優秀脚本賞の2冠に輝いている。夏の日差しあふれるパリが舞台で、突然の悲劇によって姉を失った青年と、彼の姪で母を亡くした少女との絆の物語。悲しみを受け入れ、前を向いて生きようとする登場人物の感情の機微が、印象的な映像と音楽で巧みに表現され、観客の心を揺さぶった。監督はこれが長編3作目で、脚本も手がけたミカエル・アース。本作が2019年に日本で劇場公開された際には、アース監督の前作『サマーフィーリング』(15)も公開されている。
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