スコセッシ、リンチ、レフンらも影響を受けた、唯一無二のアングラ監督ケネス・アンガーを知ってる?
映画界に大きな影響をもたらしたにもかかわらず、アンダーグラウンドな存在ゆえに映画ファン以外にはその名をあまり知られていないケネス・アンガー監督。彼の作品をまとめた『マジック・ランタン・サイクル』が公開されているので、彼の人生や映画界に与えた影響を紹介していきたい。
マンソン・ファミリーとも交友が!?ケネス・アンガーって何者?
1927年生まれの御年94歳のケネス・アンガーは、もともとハリウッドで衣装として働いていた祖母の影響から映画や芸術に興味を持ち、子役として活動していたという経歴の持ち主。10歳で映画を撮り始めたという彼は、ジャン・コクトーやテネシー・ウィリアムズといったアーティストから絶賛された『花火』(47)など、数々の実験的でアバンギャルドな短編映画を生みだしてきた。
映画制作のかたわら、1900年代から1950年代に至るハリウッド黄金期にまつわる様々な醜聞を集めた「ハリウッド・バビロン」を、1959年にパリで出版。チャップリンのロリコン疑惑など大物スターのスキャンダルを多く含む内容ゆえに、アメリカでは1975年になってようやく公式に出版されるなど、大きな物議を醸した。
さらに交友録を見ても、ミック・ジャガーや作家のアナイス・ニン、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジ、さらにはマンソン・ファミリーのボビー・ボーソレイユなど、一筋縄ではいかないことがわかるアンガー。なお、ボーソレイユにはフィルムを盗まれており、そのことで創作意欲を失ったアンガーは、“In Memoriam Kenneth Anger 1947-67”と自らの死亡広告を新聞に打つと、アメリカを離れロンドンへ移住。そこでミックや彼の当時の恋人マリアンヌ・フェイスフルと出会うことになる。
その後アメリカに戻ると、2000年に映画制作に復帰し、数々のショートフィルムを作り続けていくアンガー。同時に音楽活動をしたり、GUCCIの2019年キャンペーンで彼自身がモデルに起用されたりと、近年もアーテイストとして精力的な活動を続けている。