黒沢清監督『スパイの妻』が作品賞など5部門で候補入り!「第15回アジア・フィルム・アワード」のノミネーションが発表

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黒沢清監督『スパイの妻』が作品賞など5部門で候補入り!「第15回アジア・フィルム・アワード」のノミネーションが発表

アジア全域版のアカデミー賞として知られる「第15回アジア・フィルム・アワード(AFA)」のノミネーションリストが発表。第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を獲得した濱口竜介監督の『偶然と想像』(12月公開)、第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を獲得した黒沢清監督の『スパイの妻 劇場版』(公開中)が、それぞれ作品賞と監督賞にノミネートされたほか、多くの日本の映画人がノミネートされた。

『万引き家族』(18)や『パラサイト 半地下の家族』(19)など、近年世界中の映画祭、映画賞をにぎわすアジア映画界。その年のアジアの映画人を表彰しスポットライトを当てることで、アジア映画ファンの創出、世界へのアジア映画の振興と文化交流を図る目的で2007年に創設されたAFAも今年で15回目。今年の審査員長を務めるのは、『バーニング 劇場版』(18) などで知られる韓国映画界の巨匠イ・チャンドン監督。

【写真を見る】日本からは9作品が14部門で16ノミネート!蒼井優、蒔田彩珠らの名前も
【写真を見る】日本からは9作品が14部門で16ノミネート!蒼井優、蒔田彩珠らの名前も[c]2020 NHK, NEP, Incline, C&I

昨年は加瀬亮が『旅のおわり世界のはじまり』(19)で最優秀助演男優賞を獲得し、『37セカンズ』(19)のHIKARI監督が最優秀新人監督賞、『蜜蜂と遠雷』(19)の久連石由文が最優秀音響賞を受賞した日本勢。今年は9作品が14の部門で候補入りを果たした。

『スパイの妻 劇場版』は作品賞と監督賞に加え、蒼井優の主演女優賞と衣装デザイン賞、美術賞の5部門。『偶然と想像』は作品賞と監督賞の2部門。他に『すばらしき世界』(20)の役所広司が主演男優賞、『罪の声』(20)の宇野祥平が助演男優賞、『朝が来る』(20)の蒔田彩珠が助演女優賞、『由宇子の天秤』(9月15日公開)の春本雄二郎監督が新人監督賞、『ミッドナイト・スワン』(公開中)の服部樹咲が新人賞にノミネート。


また『朝が来る』は編集賞に、『泣く子はいねぇが』(20)が撮影賞と音響賞、『おらおらでひとりいぐも』(公開中)は視覚効果賞にノミネートされるなど技術部門でも日本の映画人が存在感を発揮。

実話に基づく『茲山魚譜-チャサンオボ-』は4部門にノミネート
実話に基づく『茲山魚譜-チャサンオボ-』は4部門にノミネート[c]2021 MegaboxJoongAng PLUS M & CINEWORLD. ALL RIGHTS RESERVED.

作品賞にノミネートされたのは前述の日本映画2作品のほか、中国映画界が誇る巨匠チャン・イーモウ監督の『One Second』、実話を元に流刑となった学者と若き漁夫の交流を描いた韓国映画『茲山魚譜 -チャサンオボ-』(11月19日公開)、第77回ヴェネチア国際映画祭で脚本賞を受賞したインド映画『夢追い人』(Netflixで配信中)の計5作品。

イーモウ監督の作品はもう1作品『Cliff Walkers』が助演男優賞と助演女優賞など6部門にノミネートされており、同作は今年最多ノミネートを獲得。ノミネート数では『One Second』と『スパイの妻 劇場版』が5部門、『茲山魚譜 -チャサンオボ-』や韓国映画『Deliver Us From Evil』、池内博之も出演している香港映画『Limbo』が4部門で続いている。第15回アジア・フィルム・アワードは、10月8日(金)に韓国・釜山にて開催される。続報に乞うご期待。

文/久保田 和馬

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