宮沢りえ、樋口真嗣、エドガー・ライトら映画人が選ぶ、2021年のベスト映画は?
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)の熱気が冷めやらぬなかで幕を開け、菅田将暉と有村架純がダブル主演を務めた『花束みたいな恋をした』(21)が大ヒット。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(21)で一つの時代が終わり、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(21)などコロナ禍で公開が延期されていたハリウッド大作が次々と公開されたり、カンヌ国際映画祭で『ドライブ・マイ・カー』(21)が大絶賛を集めたり…。世の中の鬱々としたムードとは打って変わり、大きな賑わいを見せた2021年の映画界。
そんな2021年を彩った映画人たちは、この一年にどんな映画に魅了されたのだろうか。MOVIE WALKER PRESSでは年末年始に「映画人が選ぶ、ベスト映画2021」と題し、さまざまな監督や俳優、映画関係者にアンケートを実施。新作から旧作まで、2021年に鑑賞してグッと来た映画3作品と、その魅力について語ってもらった。そこで本稿では、その回答結果をまとめた特設サイトからいくつかの回答を抜粋して紹介していきたい。
まずは2021年に映画やテレビドラマ、CMなどに相次いで出演するなど、大ブレイクを果たした伊藤沙莉の回答をピックアップ。2022年にも『シチリアを征服したクマ王国の物語』(1月14日公開)や『ちょっと思い出しただけ』(2月11日公開)が控える伊藤は、斎藤工が企画・プロデュースを手掛け、リリー・フランキーが主演を務めた中編映画『その日、カレーライスができるまで』(21)と、佐久間由衣と奈緒が共演した『君は永遠にそいつらより若い』(21)、そしてミヒャエル・ハネケ監督が自身の出世作をハリウッドでリメイクした『ファニーゲームU.S.A.』(07)の3本を選び、自身の2022年の抱負についても語っている。
そんな伊藤と同じく、『シチリアを征服したクマ王国の物語』で声優を務める柄本佑は、邦画から『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』(21)を、洋画からは『ビーチ・バム まじめに不真面目』(19)を選び、さらに旧作からケリー・ライカート監督の『ウェンディ&ルーシー』(08)をセレクト。3本の絶妙なバランスといい、それぞれを選んだ理由といい、無類の映画好きとして知られる柄本らしさがにじみ出ている。
伊藤と柄本をはじめとした日本の俳優たちの多くは、ほかの俳優たちの演技から自身の演技につながるヒントを見つけだしているようで、『決戦は日曜日』(公開中)でダブル主演を務めた宮沢りえは、『恋人たち』(15)をチョイスし、「“こういう芝居をしたいな”と思える作品で、役者として勇気が湧きました」とコメント。窪田正孝も『サマーフィルムにのって』(21)の3人のメインキャストの演技を絶賛し、『恋する寄生虫』(21)についても「観ていてうらやましかったです」と、林遣都と小松菜奈に羨望のまなざしを向けた。
ほかにも今年『シン・ウルトラマン』(5月13日公開)が控える樋口真嗣は、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(21)と『燃えよ剣』(21)、『DUNE/デューン 砂の惑星』(21)と監督目線でのチョイスを繰りだし、お笑いコンビ「アルコ&ピース」の平子祐希は、『ヤクザと家族 The Family』(21) と『空白』(21)のヒリヒリするような2作品に加えてNetflix映画『浅草キッド』(配信中)を選出。「シビれた。このシビれを理屈で説明出来るほど自分は駆け登っていない。とにかくシビれたのだ」と、芸人としても強く心打たれたことを明かす。
さらに海外からも『ラストナイト・イン・ソーホー』(公開中)のエドガー・ライトが『リコリス・ピザ』(2022年公開)と『アネット』(4月1日公開)、『Titane』(公開未定)の3本を。リン=マニュエル・ミランダが『ベルファスト』(3月公開)と『コーダ あいのうた』(1月21日公開)といった日本公開を控えた話題作をチョイスするなど、2022年の映画鑑賞の参考になりそうな回答も続々。
特設サイト内ではこのほかにも、伊藤万理華、井上祐貴、カツセマサヒコ、神尾楓珠、久保茂昭、SABU、トム・マッカーシー、平野綾、松本花奈、三浦獠太ら、幅広い映画人たちの回答を読むことができる。今後も『牛首村』(2月18日公開)が控える清水崇をはじめ、堀未央奈や南沙良、緒方恵美、内山昂輝、Base Ball Bearの小出祐介、『真夜中乙女戦争』(1月21日公開)を監督した二宮健らの「ベスト映画2021」が追加されていく予定だ。
あわせて特設サイトでは、「映画ファンが選ぶ、2021年ベスト映画」のアンケートも実施中。回答してくれた方のなかから抽選で素敵な賞品が当たるプレゼントもあり、こちらの応募期間は1月10日(月)23時59分までと締切間近。是非とも皆さんの2021年の映画ライフを彩った1本を、熱いコメントともに教えてほしい。
文/久保田 和馬