「きっとずっとこういう映画を探していました」生きづらい日常に抗う『真夜中乙女戦争』、試写会直後のリアルな感想をレポート
永瀬廉演じる“私”と彼を取り巻く登場人物たちが心に残る理由とは?
主要キャラクターを演じたキャスト陣への感想コメントも抑えておきたい。“私”役の永瀬は『うちの執事が言うことには』(19)で映画初主演を務め、初出演の連続テレビ小説「おかえりモネ」の及川亮役でも話題を集めてきた。本作では無表情な“私”のかすかな心の揺れ動きを抑えた演技で表現するなど、さらなる新境地を見せてくれる。
「冒頭で教授に抗議しているシーンにすごく共感しました」(20代・男性)
「目線、表情、声と出せるものすべてを出して“私”という役を演じていたのが印象的でした」(10代・女性)
「最初と最後の“私”の変化が著しく、どんどん目つきが変わっていった」(10代・女性)
「日常が曲がっていく様子を丁寧に演じられているなと思いました」(20代・女性)
“私”に影響を与える一人、“先輩”役には池田エライザ。俳優のほか、『夏、至るころ』(20)では映画監督デビューも果たすなど、表現者としてマルチな活動を見せる池田が、どこかミステリアスで、“私”が変わるきっかけにもなる役柄を好演している。
「『一生懸命生きている人を誰も馬鹿になんてできない』など、心にすっと入ってくるような、でも力強いメッセージを発していて印象的でした」(20代・女性)
「原作を読んで、想像していた先輩そのものでした」(20代・女性)
「歌唱シーンがとても美しくてすてきでした」(20代・男性)
「“先輩”がいることによって“私”の考え方が変わってくる」(40代・女性)
そして、もう一人の影響を与える存在、“黒服”を演じるのは、『きみの鳥はうたえる』(18)や『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)などで様々な映画賞を受賞してきた実力派の柄本佑。“黒服”は物語の核とも言うべき存在で、一連の騒動を首謀しながら、“私”を退屈な日常の外にも連れ出してくれる。そんなつかみどころのないキャラクターが、「心に残った」という人も多いようだ。
「最初から最後までずっと優しくて勇敢でした」(10代・女性)
「“黒服”によって“私”の進む未来が変わっていく様子が印象に残りました」(10代・女性)
「行動が予測できず、なにを考えているのかわからないところにハラハラさせられた」(20代・男性)
なにげなく生きている日々に疑問を感じながらも、現実を受け入れ、いつの間にか社会に溶け込んでしまっている。この世界から抜け出すことはできないのか?そんな問いに、ある種の答えを提示する『真夜中乙女戦争』。痛々しく、もがき、苦しむ“私”の物語が、観る者に感じ与えるものは?それを確かめに、劇場を訪れてほしい。
構成・文/サンクレイオ翼