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2人のプロデューサーが明かす『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』制作秘話。20年にわたる“親愛なる隣人”との旅路

インタビュー

2人のプロデューサーが明かす『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』制作秘話。20年にわたる“親愛なる隣人”との旅路

「スタン・リーには、ラストシーンに出てほしかった」(パスカル)

このMCU版「スパイダーマン」の立役者は、主人公を演じたホランドだけではない。シリーズ3作を通してメガホンをとりつづけたワッツ監督もその一人であり、彼の一貫したアイデアがあったからこそ、この3部作はほかのMCU作品と一線を画した魅力を放つこととなった。パスカルは「彼はジョン・ヒューズ監督の映画のように描きたいと言いました」と振り返る。ワッツ監督の頭のなかには初めから、一般的な“スーパーヒーロー映画”ではなく、楽しい音楽にあふれ恋や友情、将来に悩みながらも自分の生き方を見つけていく、ティーンエイジャーの物語としての設計図が出来上がっていたのであろう。

MCU版3作で監督を務めたジョン・ワッツは、このシリーズで大ブレイクを果たした
MCU版3作で監督を務めたジョン・ワッツは、このシリーズで大ブレイクを果たした[c] & TM 2022 MARVEL. [c]2022 CPII and MARVEL. All Rights Reserved.

「私たちは最初、大掛かりで贅沢なセットを検討していました。ところがジョンが参加すると、地に足のついた感性をもたらしてくれました。『これはピーターの世界ではない。もし君がピーター・パーカーだとしたら、そんな風ではないだろう』と。彼は大作映画やアクションにも優れていて、俳優にとってもすばらしい監督。親密な関係性や、登場人物の間で起きている真実をとても大切にしていて、正直な気持ちから感情を表現させるのです」。

ファイギもまた、ワッツ監督の成長ぶりに満足そうな表情を見せる。「『COP CAR/コップ・カー』という規模は小さいながらキャラクターを重視したすばらしい作品が、我々が彼に注目したきっかけになりました。それから何年も経ち、彼が成長していくのを目の当たりにしました。マーベル・スタジオで働いていて光栄なことは、俳優や監督、脚本家など携わる人々が常に成長し、変化し、進化していく様子を見られることです。ジョンはその最たる例です。彼は活気ある新人から、活気ある専門家になった。いまではほかの映画の制作者たちから尊敬され、見習いたいと思わせるスキルでアクションシーンをこなす。それを楽しんで見ていられるのは、私がもう年長者になったということかもしれませんね(笑)」。


【写真を見る】なぜスパイダーマンはこれほど愛されるのか?壮大な物語が生まれたきっかけが明らかに!
【写真を見る】なぜスパイダーマンはこれほど愛されるのか?壮大な物語が生まれたきっかけが明らかに![c] & TM 2022 MARVEL. [c]2022 CPII and MARVEL. All Rights Reserved.

最後にパスカルは、「私は長い間、この『スパイダーマン』の映画に取り組んできたので、ピーター・パーカーの親戚になったような感じがしています」と感慨深げに語り、「スパイダーマンのすべてに対する祝祭といえるものが『ノー・ウェイ・ホーム』で観られます。それは信じられないほど感動的なものだと確信しています。だからこそ、スタンにラストシーンに出てほしかった」と、2018年に亡くなった「スパイダーマン」の生みの親であるスタン・リー御大へ思いを馳せる。

それを聞いたファイギも「どの場面でもいいからまたカメオ出演してほしかった」と寂しそうにつぶやき、「だけどある意味で、スタンはすべてのシーンに存在している。彼のスピリットは『スパイダーマン』映画のすべてのカット、すべての細胞に生きつづけているのです」。

構成・文/久保田 和馬

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