桜井玲香が明かす『ウエスト・サイド・ストーリー』への想い…「よりメッセージ性が強くなり、深く理解できるようになったいまだからこそ、観るべき名作だと思います」

インタビュー

桜井玲香が明かす『ウエスト・サイド・ストーリー』への想い…「よりメッセージ性が強くなり、深く理解できるようになったいまだからこそ、観るべき名作だと思います」

「みんな同じ人間なのに、なぜ偏見や争いがなくならないのか」

1950年代のアメリカを舞台に描かれる、差別や偏見と闘いながら、必死にいまを生きようとする若者たちの姿。「みんな同じ人間なのに、なぜ偏見や争いがなくならないのか。みんなが手を取り合っていけるような世の中になってほしいと、心から思います」と桜井が語るように、この物語は決して他人事ではない。

「たぶん本作撮影時は、新型コロナウイルス感染症の流行は予測していなかったと思いますが、コロナ禍になり、より多くの人が差別というものを身近に感じる状況になりました。このタイミングで『ウエスト・サイド・ストーリー』が公開されることに、なにか不思議な運命を感じます。よりメッセージ性が強くなり、深く理解できるようになったいまだからこそ、観るべき名作だなと改めて感じました」。

2つのグループに分かれて対立する若者たち
2つのグループに分かれて対立する若者たち[c]2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「それぞれ『ウエスト・サイド・ストーリー』には、格別の想いを持っている」

2020年5月に上演が予定されていたミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season3でマリア役を演じることが決まっていた桜井。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の発令によって、公演は中止となってしまった。

「360度回転する特殊な円形劇場だったので、普段の舞台よりも劇場入りが早くて。劇場のステージで、衣装もつけて、本番さながらに通し稽古をしていました。それが、もうあとはお客様に見せるだけ!という段階で終わってしまい、すごく不完全燃焼で、本当に悔しかったです。『ウエスト・サイド・ストーリー』の曲もしばらく聴けなくなってしまいました」と当時のことを振り返る。

「でも最近、共演していた方や、別のSeasonで出演されていた方と『また聴くようになったんだよね』『やっぱりいいよね』という話になって。皆さん、それぞれ『ウエスト・サイド・ストーリー』には、格別の想いを持っているのだなと感じました。もしもいつか、また挑戦できる機会があれば、ぜひ演じたいです」。


シャークスのリーダーの妹、マリアは、敵対するジェッツの元リーダーであるトニーと惹かれ合う
シャークスのリーダーの妹、マリアは、敵対するジェッツの元リーダーであるトニーと惹かれ合う[c]2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

現在、桜井は1920~30年代のハリウッド激動の時代に、映画作りに情熱をかける人々のドラマを描く舞台「スラップスティックス」に出演中。さらに4月には、サンフランシスコのチャイナタウンで、ショービジネス界で生きる人々の夢と愛を描く、ブロードウェイ・ミュージカル「FLOWER DRUM SONG」の主演が決定している。エンタテインメントの世界をテーマにした作品が続く。

「コロナ禍で娯楽は必要ないんじゃないかと言われていた時期もありました。全然外に出られなくて、本当に気持ちが滅入りそうになった時に助けられたのが、映画や音楽でした。私も含め、救われている人がたくさんいます。生身の人間が演じるからこそ、伝えられることもたくさんあるはず。私はこれからも誇りを持って、いまの仕事を続けていきたいですし、エンタテインメントの仕事を守っていきたいと思っています」。

取材・文/石塚圭子

桜井玲香
1994年生まれ、神奈川県出身。2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格。グループのキャプテンを務め、2019年に卒業。モデル、俳優として舞台や映画で活躍。代表作は舞台「ダンス・オブ・ヴァンパイア」「フラッシュダンス」、映画『シノノメの週末』(21)など。現在舞台「スラップスティックス」に出演中。4月公演のブロードウェイ・ミュージカル「FLOWER DRUM SONG」への主演が決定。


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