【第94回アカデミー賞】主演女優賞は『タミー・フェイの瞳』のジェシカ・チャステイン!「タミーのラディカルな行動から影響を受けた」
現地時間3月27日(日本時間3月28日)に開催中の第94回アカデミー賞授賞式。主演女優賞は『タミー・フェイの瞳』のジェシカ・チャステインに輝いた。実在のテレビ伝道師タミー・フェイ・ベイカーを抜群の演技と大変身メイクで演じ抜き、9年ぶりのノミネートで初受賞を果たした。
『タミー・フェイの瞳』は、1970年代から80年代にかけてテレビ伝道師として活躍したタミー・フェイとジム・ベイカー夫妻の波乱万丈の人生を描く物語。愛にあふれたメッセージで人気を博したタミーが、泣いても消えないまつげ、独特の歌い方、そしてあらゆる人々を受け入れる寛大さで伝説的な存在となりながらも、金銭的な不正、ライバルの陰謀、スキャンダルなどにより、夫と築いた帝国が崩壊していくさまを描く。『tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!』で本年度のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされているアンドリュー・ガーフィールドが、夫のジムに扮した。
ジェシカ・チャステインは、プレゼンダーのアンソニー・ホプキンスと笑顔を交わし、マイクに向かった。「皆さまと候補になれて光栄」と主演女優賞の候補となったメンバーに最敬礼。マイケル・ショウォルター監督やたくさんのスタッフ陣の名前をあげ、共演者のアンドリュー・ガーフィールドにも「私のいいところを引きだしてくれたから、力を発揮できた」と感謝を伝えた。さらに世界中にあふれる絶望や孤独、暴力、差別、分断などに触れ、自殺率の高さについて言及するひと幕も。「タミーのラディカルな行動から影響を受けた。前進できると信じている」と役柄から力をもらったことを告白。「絶望を味わっているすべての人へ」と口にしたのち、「ユニークであるあなたは、すばらしい」と心を込めて、大きな拍手を浴びていた。
ジェシカ・チャステインは1977年生まれ、アメリカ・カリフォルニア州出身。ニューヨークのジュリアード学院で演劇を学び、複数の舞台に出演した。「ER緊急救命室」や「ヴェロニカ・マーズ」などのテレビドラマに出演し、2008年に『Jolene(原題)』で映画デビュー。テレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』(11)に抜てきされ、『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(11)で第84回アカデミー賞助演女優賞、『ゼロ・ダーク・サーティ』(12)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
文/成田おり枝