独自の世界観に陶酔する…『女子高生に殺されたい』古屋兎丸が描く少年少女の物語
古屋の脳内世界が映しだされる『女子高生に殺されたい』
映画『女子高生に殺されたい』では、原作コミック同様、春人の常軌を逸した欲望とそれを実行に移す彼の複雑怪奇な脳内世界が映しだされるが、そこには古屋がずっと描き続けている人間の闇や他人は理解できない歪んだ感情や性的思考がくっきりと浮かび上がる。
『ライチ☆光クラブ』や『帝一の國』のように美男子たちが登場しない代わりに、コミックよりもたくさんの美しくてかわいい魅力的な女子高生を登場させ、“春人が殺されたい女子高生は誰なのか?”といった原作にはない“謎解き”の要素をプラスして古屋ワールドをアップデート。
初期作品に見られた女性に対する倒錯した愛や憧れも、彼女たちを見る春人の眼差しや接し方に反映されており、危険で甘美な禁断の世界が城定監督による幻惑的な映像で視覚化されているからたまらない。
さらに、コミックの驚愕の展開を映画的にスケールアップさせた圧巻のクライマックスでは、原作ファンも手放しで興奮するはず。原作を読んでない人は唯一無二の古屋兎丸ワールドに息をのみ、コミックとの違いを確認せずにはいられなくなるはずだ!
文/イソガイマサト
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