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その結末は記憶に残る…白石和彌監督作『死刑にいたる病』や名作『セブン』も!鳥肌もののラストを迎える映画たち

コラム

その結末は記憶に残る…白石和彌監督作『死刑にいたる病』や名作『セブン』も!鳥肌もののラストを迎える映画たち

事件捜査を続けるうちに徐々に心の均衡が危うくなっていく『CURE』

同じく主人公と囚人の駆け引きがカギとなる『CURE』(97)は、黒沢清を世界的監督に引き上げたサイコサスペンス。教師や女医など、まったく無関係な複数の人間が、被害者の胸をX字型に切り裂いて殺害するという奇妙な事件が発生する。捜査線上に浮上したのは、加害者たちが犯行直前に接触した記憶障害を抱える謎の男(萩原聖人)。冷静な刑事の高部(役所広司)は彼を取り調べるが、のらりくらりと質問をかわされてしまう。そればかりか、いつしか男の不思議な話術に乗せられて混乱していくのだった。その姿は、榛村の言葉に耳を傾け、真実を追い求めるうちに徐々に心の均衡が危うくなっていく、雅也に通ずるものがある。当たり前だと思っていた日常がぐらりと揺らいでいく黒沢ワールドは、本作でも遺憾なく発揮されている。主人公と共に真実を探すうちに、観客もいつの間にか不可解な世界に足を踏み入れてしまう演出は、まさに『死刑にいたる病』でも味わうことができる。サスペンスという枠組みを越えた映画体験を味わえるはずだ。

壁一面に被害者のプロフィールを並べるなど、雅也は捜査にのめり込んでいく
壁一面に被害者のプロフィールを並べるなど、雅也は捜査にのめり込んでいく[c]2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会


最後まで目が離せない!真犯人をめぐるミステリーが展開『怒り』

犯行現場に“怒”という血文字を残した殺人犯をめぐる3つの物語が同時進行する『怒り』
犯行現場に“怒”という血文字を残した殺人犯をめぐる3つの物語が同時進行する『怒り』Blu-ray&DVD発売中 発売・販売元:東宝 [c]2016映画「怒り」製作委員会

原作・吉田修一、監督・李相日の『悪人』(10)チームが再集結したヒューマンミステリー『怒り』(16)は、渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、妻夫木聡、宮﨑あおいらオールスターが共演する群像劇だ。八王子の住宅街の犯行現場に“怒”という血文字を残して殺人犯が逃亡。その1年後、日本の3か所に、犯人像によく似た前歴不詳の男が現れる。千葉の漁港で働きだした寡黙な田代(松山)、沖縄で自給自足の生活を送る田中(森山)、東京で知り合った恋人の家に転がり込んだ同性愛者の直人(綾野)。それぞれ周囲の人間とささやかな交流を始めるが…。『死刑にいたる病』では、岩田剛典が演じる謎の男の存在や、榛村の嘘とも真実ともわからない言動に惑わされ、真犯人がいったい誰なのかというミステリー要素も見どころの一つとなっている。3つの物語が同時進行していく『怒り』も、「いったい誰が本当の逃亡犯なの?」と、ハラハラと推理しながら観ることができる。しかし、『怒り』の根底にあるのは、傷ついた者へ投げかけられた眼差し。人には言えない事情を抱えた者同士が寄り添う姿に、きっと心動かされてしまうはずだ。


衝撃の結末を目撃せよ!『死刑にいたる病』特集

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