“新・山の神”柏原竜二が感じた『バブル』が描くバトルクールと駅伝の共通点…「誰しもが孤軍奮闘しなければならない時がある」
「SPY×FAMILY」を手掛けるWIT STUDIO最新作で、5月13日(金)より劇場公開される『バブル』。「進撃の巨人」や「甲鉄城のカバネリ」を手掛けた荒木哲郎監督がメガホンをとり、「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄が脚本、「DEATH NOTE」や「プラチナエンド」の小畑健がキャラクターデザイン原案、WIT STUDIO作品や『プロメア』(19)の澤野弘之が音楽を務める注目作だ。
物語の舞台は、突如として世界中に降り注いだ泡(バブル)によって重力が壊れた東京。家族を失った一部の若者たちがチームを作り、食料や生活物資を賭けて、荒廃した街を駆け回るパルクールでバトルを繰り広げる“パルクール・アクション”が見どころの一つになっている。
そんな本作についてMOVIE WALKER PRESSでは、本編をいち足早く鑑賞した元陸上競技選手である柏原竜二にインタビュー。東洋大学在学中に第85~88回箱根駅伝で活躍し、山の難関5区における“新・山の神”として注目を集めた柏原。実は幼少期から兄弟の影響で大のアニメ好きで、現在も仕事や育児をこなしながら、毎クール5~10本は視聴しているという。本作も事前に情報をキャッチアップし、「このクリエイター陣がタッグを組んでオリジナルアニメを制作するのか」と期待を膨らませていたそう。
「ドでかいスクリーンであの凄まじい動きを隅々まで体験してほしい」
「キャラクターデザイン原案の小畑さんがすごく好きなんです。アンダーテイカー(主人公と対立するチーム)のリーダーは、L(「DEATH NOTE」)みたいな猫背のキャラで、まさに小畑さん!という感じでした(笑)。また、(虚淵が原案、シリーズ構成、脚本を務めた)『翠星のガルガンティア』も好きなので、『バブル』もダークな展開になるのかと思いきや、いい意味で裏切られるとても鮮やかで美しい物語だったのが印象的でした。今回も荒木監督と虚淵さんは荒廃した世界を描くのがとてもうまく、素人目から見ても驚きました」。
『バブル』のクリエイター陣について熱く語る柏原。本作を手掛けたアニメ制作会社WIT STUDIOは現在放送中のアニメ「SPY×FAMILY」でも話題を呼んでいる。柏原も以前からWIT STUDIOについては「動きが強いアニメを制作する会社」という認識を持っていたそう。パルクール・アクションの表現についても「惹き込まれた」と絶賛する。
「パルクールという競技はしなやかなイメージが強いのですが、体操のように飛ぶ瞬間には関節にしっかり力が入ります。本作では、登場人物が宙に浮かぶ泡に飛び乗るシーンが何度も登場しますが、そこでの足の関節の描き方にまったく違和感がありませんでした。しかも1人が動き回るだけでなく、複数人がいっせいに別々の動きをする場面もあります。これをアニメーションで表現するとは…。主人公のヒビキ(声:志尊淳)とヒロイン(声:りりあ。)のウタが、バトル中にシンクロするところなんて、制作陣の労力を心配してしまうほどのアクションでした」と本作のパルクール表現を絶賛する。
さらに、WIT STUDIO特有のキャラクターに追随するワンカットのカメラワークには、笑いながら「覚悟していないと酔います!」と話す。同時に「ドでかいスクリーンであの凄まじい動きを隅々まで体験してほしい」と“映画館で観ることの醍醐味”を述べてくれた。
1989年生まれ、福島県出身。中学時代から陸上競技をはじめ、東洋大学陸上競技部に所属。箱根駅伝に出場して3度の総合優勝に貢献。4年連続5区区間賞を獲得した。卒業後実業団へ進み、全日本実業団対抗駅伝に出場。2017年に現役を引退。現在はスポーツ活動全般への支援、地域・社会貢献活動などを担当し、幅広く活動している。