【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第6回 めくるめく映画の中のインテリアと甘い誘惑
小人ならではのアイデアが詰まったアリエッティの家
最後はジブリ。ジブリといえば家。私的ベスト・オブ・ジブリハウスは『借りぐらしのアリエッティ』(10)である。「小人」「借りぐらし」というだけでもワクワクするのに、アリエッティの家はそのワクワクをたやすく超えてくる。アリエッティたちは、人間の使う道具を工夫して様々な細工を施す。人間の庭からとってきた草花を部屋中に飾ったり、ガラス瓶を窓にしたり、魚型の醤油差しを水筒代わりにしたり。料理で必要なストーブはなんと鉢植えだ。小人ならではのアイデアで、人間には到底思いつかない。
光の入らない床下のこの家を「温かい家」と感じるのはそんな豊かさや、家族愛からくるのだろう。(私が10年ほど一途に片思いしている)アリエッティを見守る男、翔の大叔母の家も美しい庭や内装が目を惹く。モデルとなったのは青森県にある「盛美園」である。和洋折衷の建物で、ここの床下はアリエッティが駆け抜けた作中の景色とほぼ同じ。
「いつか巨人の宇宙人と地球が仲良くなれた時、向こうのお家に借りぐらしをさせてもらえないかな。そうなったら、ポケットティッシュでふかふかの布団を作り、ガラスのビー玉を少し削ってコーヒーテーブルにする。人間の落とした小さいタイルは風呂に敷きたい」なんて妄想をする今日この頃、こちらはとても平和です。
映画の中のインテリアは私の妄想癖と引っ越し癖をかきたてる甘い誘惑
家の話なんて書いているからか、私の引っ越し欲はメラメラと燃え上がり、そのうえ、不動産屋に行く約束までしてしまった。また私の通帳が泣くことになる。
映画の中のインテリアは私の妄想癖と引っ越し癖をかきたてる甘い誘惑なのである。インテリアに凝縮された作品の世界観にどっぷり包まれて、私は何度も違う自分になる。その幸福たるや、だから何度も引っ越しを繰り返してしまうのかもしれない。そう、インテリアは私にとってロマン、アーンドファンタジーなのだ。次の家では少し勇気を出して色のある家具を使い、皮のラグから卒業し、ペルシャ絨毯でも買ってみる。オシャンティな空間で飲めないシャンパンでも飲んでみようか。
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
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