すずめはどんな女の子?『秒速5センチメートル』から『すずめの戸締まり』まで、新海作品のヒロインを振り返る

コラム

すずめはどんな女の子?『秒速5センチメートル』から『すずめの戸締まり』まで、新海作品のヒロインを振り返る

新海誠監督の劇場最新作『すずめの戸締まり』が公開スタート。主人公の岩戸鈴芽(声:原菜乃華)が、全国の廃墟にある災いの扉を閉める旅をする、冒険と成長の物語。予告編映像で、すでに跳んだり走ったり叫んだりと、表情もくるくる変わるすずめの姿がかわいいと話題だが、これまでも新海監督作品には多くのヒロインが登場してきた。すずめはどんな女の子なのか?新海作品におけるヒロイン像を振り返りながら、ニューヒロインの魅力を考える。

“戸締まり”を通じ、過去と対峙するヒロイン、すずめ

【写真を見る】グリーン基調の制服に赤いリボン、ポニーテール…新海作品らしさを踏襲したルックのすずめ
【写真を見る】グリーン基調の制服に赤いリボン、ポニーテール…新海作品らしさを踏襲したルックのすずめ[c]2022「すずめの戸締まり」製作委員会

『すずめの戸締まり』は、九州の海沿いの静かな街で暮らす17歳の岩戸鈴芽=すずめが主人公。ある日、廃墟で古ぼけた不思議な扉を見つけたすずめは、学校で授業を受けている時に、廃墟の方角でなにかがうごめいているのを見て現場へと走る。そこで見たのは、扉からあふれ出んとする災いを食い止めようと、必死で扉を押さえる青年、宗像草太(声:松村北斗)だった。草太は、災いをもたらす扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として、全国を旅しているという。すると2人の前に突如、人の言葉を話す謎の白猫、ダイジンが現れ、草太の姿を椅子に変えてしまった。やがて、日本各地で次々に開き始める扉。小さな猫に導かれながら、すずめは椅子(草太)と共に、全国に点在する扉を閉める旅を始める。

旅を進めるすずめは、旅先で様々な出会いをする(『すずめの戸締まり』)
旅を進めるすずめは、旅先で様々な出会いをする(『すずめの戸締まり』)[c]2022「すずめの戸締まり」製作委員会

すずめは、九州の静かな町で、叔母と2人で暮らす17歳の女子高校生。広大な廃墟の中で、幼い自分が草原をさまよい歩く不思議な夢をよく見るという。一つにまとめたポニーテールの髪、大きく真っ直ぐな瞳。責任感が強く、自分が不用意に扉を開けてしまったことを気にやみ、椅子になってしまった草太のことも放っておくことができない。そこからは責任感の強さと、芯の通った性格であることが感じられる。制服の赤い細めのリボンも印象的で、予告編では、人目も気にせず制服に登山用のようなゴツめのブーツをあわせて履いて歩くシーンがあり、そこからは扉を閉じる旅の過酷さとなにかを決意したような覚悟がうかがえる。


すずめの声を担当するのは、1700人を超えるオーディションで役を勝ち取った原菜乃華。あふれ出る感情を声に乗せるみずみずしい演技と、真っ直ぐで透明感のある声。現在19歳である、彼女にしか出せない唯一無二の声で、すずめに命を吹き込んでいる。

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