定番転生モノ「転スラ」から心温まる展開が沁みる「異世界食堂」まで、細分化していく“なろう系異世界モノ”
タイトルも強烈!?最弱スライムが最強に成り上がる「なろう系」の定番作
最後に紹介するのは、本記事のなかで最も「なろう系」らしい作品となる大ヒット作「転生したらスライムだった件」(以下「転スラ」)だ。「転スラ」は「小説家になろう」発の作品で、様々なメディアで幅広く作品が展開されている。
タイトルから一目でわかるように、現代での死をきっかけに異世界に転生することになった主人公だが、転生後の姿は最弱として扱われることが多いモンスター、スライムだった。最弱な存在の主人公リムル(声:岡咲美保)だが、ドラゴンや大鬼族(オーガ)など様々な種族との出会いを経ながら、やがて魔王の領域までめきめきと成長していくのは爽快の一言。こうした最弱から最強への「成り上がり」や、仲間を増やしてついには「建国」へ至る展開も「なろう系」で好まれる要素だ。
2022年11月時点で「転スラ」のテレビアニメは1期、2期、スピンオフアニメの3作が制作され、さらに3期の制作も決定。そして11月25日(金)からは初の劇場版にして、原作者、伏瀬氏の書き下ろしストーリーを楽しめる『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』(以下『紅蓮の絆編』)が公開となる。本作はテレビアニメ第2期よりあとの物語を描く外伝的作品となるため、その点だけ留意したい。
『紅蓮の絆編』の物語は、ある日、リムルが治める魔国連邦に大鬼族の生き残りであるヒイロ(声:内田雄馬)が現れたことで動きだす。魔国連邦の西にあるラージャ小亜国の女王、トワ(声:福本莉子)に命を救われたヒイロは、呪いに命を蝕まれているトワと彼女の国を守るため、リムルに助けを求めに来たのだ。ラージャへ向かうことを決めるリムルたち。その先に待ち受けている大いなる陰謀に、彼らはどう立ち向かうのか。ぜひ劇場で確かめてほしい。
こうしてまとめてみるだけでもわかる「なろう系」というジャンルの幅広さと奥深さ。「なろう系」だからと距離を置いてしまうのはもったいない、老若男女問わずに楽しめる魅力があるのだ。まずは頭を空っぽにして笑える「このすば」を観るもよし。ハードでダークな世界観を全身で浴びたいなら「リゼロ」を堪能するもよし。エンタメ性に富んだ「転スラ」で「なろう系」に浸かるのもよし。この機会に自分の好みの作品を見つけて、「なろう系」の世界に足を踏み入れよう。
文/リワークス(加藤雄斗)