「一分の隙もない」「没入感は前作以上」『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』はやっぱりすごかった!

インタビュー

「一分の隙もない」「没入感は前作以上」『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』はやっぱりすごかった!

「40年を経て映画の製作を完全にコントロールできるほどの巨匠になったキャメロンのストーリーは夢がある」(西川)

下田「技術的な話にもなるのですが、キャラクターの感情が、表情によく表れていますね。かつてないほど微細に顔の演技をキャプチャリングできるフェイシャル・モーション・ピクチャーシステムを開発したそうで、怒りにしても、涙する場面にしてもバリエーションがあって、前作よりも微妙なニュアンスが伝わってくるので、共感の深まりも前作とは違ってくると思いますよ」

【写真を見る】映画はついにここまで来た!最新のフェイシャル・モーション・ピクチャーシステムで機微な表情まで再現
【写真を見る】映画はついにここまで来た!最新のフェイシャル・モーション・ピクチャーシステムで機微な表情まで再現[c] 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

西川「物語も技術面もそうですが、ジェームズ・キャメロンはいまや完全に映画をコントロールできる。『タイタニック』や『アバター』の大ヒットで、それくらいのポジションにいる人になりましたからね。約40年前の監督デビュー作『殺人魚フライングキラー』との状況の違いを思うと感慨深いですよ。監督に抜擢されるも数日で解雇され、プロデューサーが勝手に撮影したにもかかわらず、キャメロンは監督としてクレジットされたままになった。クレジットを消してほしいと訴えたけれど、認められなかったんですよね。映画の内容自体も物語や撮影、特撮は散々で、キャメロン自身はなにもコントロールできなかった。この映画は海が舞台という共通点もありますが、それから40年を経て映画の製作を完全にコントロールでき、一分の隙もないものを作り上げられるほどの巨匠になったのは、夢があるなあと。ハリウッドでも指折りのサクセスストーリーじゃないですか」

下田「一分の隙もないというのはその通りですよね。3時間以上の映画ですが、無駄と思える場面はありませんでした。今作では水棲動物のイルーや、クジラのようなトゥルクンとの交流など。パンドラに棲む動物との絆を築く通過儀礼的なエピソードは、前作での翼竜のイクランを乗りこなす場面を彷彿させますね」


父や優秀な兄に比べて、自身が劣っていると引け目を感じているロアクは、ある孤独な生物と心を通わせる
父や優秀な兄に比べて、自身が劣っていると引け目を感じているロアクは、ある孤独な生物と心を通わせる[c] 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

佐藤「話の流れは正直、1作目と類似点が多いよね。前作から13年の時が経っているので、改めてそれをなぞったのかな。そういう意味では、前作を観ていなくても楽しめる。環境破壊や動物愛護に対するメッセージも前作以上に明確になっていましたね」

「ナヴィが逆にパンドラから地球へ向かうという展開もおもしろそう」(佐藤)

下田「いずれにしてもシリーズはこのあとも続く予定なので、今後はまた違うバリエーションになるかもしれません」

西川「次作があるとすれば、次世代の物語になってもおかしくないですね。特にキリは謎めいたキャラクターで、解明されていない部分が多いし、モヤモヤをスッキリさせてほしい」

佐藤「ナヴィが逆にパンドラから地球へ向かうという展開もおもしろそうだよね」

西川「キャメロンは5作目くらいで、地球を舞台にするとインタビューで語っていましたよ」

下田「本作における地球は、人間が住めなくなりつつある状態という設定がありますが、地球の危機についてはこの映画では頑なに描いていないじゃないですか。そこに次の物語の鍵があるんじゃないでしょうか」

西川「この先のシリーズでは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のようなディストピア化した地球が見られるかもしれませんね(笑)」

取材・文/有馬楽

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