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「まどマギ」「PSYCHO-PASS」「REVENGER」“虚淵玄”の特異性とは?名前だけで覚悟と興奮を覚える魅力

コラム

「まどマギ」「PSYCHO-PASS」「REVENGER」“虚淵玄”の特異性とは?名前だけで覚悟と興奮を覚える魅力

“正義とは”を問う「PSYCHO-PASS」

「踊る大捜査線」シリーズや「ナンバMG5」などヒットドラマや映画を手掛ける本広克行が、初めてアニメ総監督を務めたことで話題を呼んだ「PSYCHO-PASS」シリーズ。人間の心理状態や性格傾向を数値化する”シビュラシステム”によって管理された近未来、”ドミネーター”と呼ばれる特殊な銃によって犯罪を取り締まる、常守朱(声:花澤香菜)、狡噛慎也(声:関智一)、宜野座伸元(声:野島健児)ら厚生省公安局刑事課一係所属メンバーの活躍を描いた。

キャラクター原案を「家庭教師ヒットマンREBORN!」などの天野明が務めており、渋い大人のイケメンが多数登場したこともヒットの要因。しかしながら実に殺伐とした世界観で、シビュラシステムによって”犯罪係数”(=犯罪を犯す傾向を示す数値)が高いと判断されれば、まだ犯罪を犯してもいないのに容赦なく捕まったり射殺されたりしてしまう。ドミネーターも弾丸を撃つのではなく、相手を破裂させるという殺傷方法がなんともエグい。無実の人を殺さなければいけないことに良心の呵責を感じる常守が、シビュラシステムがなんなのか、その真実を知り愕然とし、病んでしまう気持ちもわかる。

比較的優しい展開?「翠星のガルガンティア」

「翠星のガルガンティア」は、バンダイビジュアル(現バンダイナムコフィルムワークス)、Production I.G、ニトロプラスの3社による、オリジナルのロボットアニメ。シリーズ構成を虚淵が務め、原案、脚本にも参加している。舞台は、海水面上昇によって人々が海上生活を送るようになった地球。宇宙からやって来た人型戦闘機”チェインバー”とパイロットのレド(声:石川界人)は、ガルガンティアという巨大船団で暮らすヒロインのエイミー(声:金元寿子)らと出会う。

海上での生活は意外と穏やかで決してディストピアではないが、そこに宗教が絡んでくることで一気にきな臭くなる。エイミーやメルティ(声:阿澄佳奈)などハジけるようなかわいらしさを持った女の子のキャラクターが数多く登場し、ダークな一面がない作品は虚淵にしては珍しい。しかし、レドの世界では敵として戦っていた“宇宙生命体ヒディアーズ”の正体という、「PSYCHO-PASS」のシビュラシステムや「魔法少女まどか☆マギカ」のキュゥベえのような、どんでん返しの存在があるところが虚淵らしいと言えるだろう。

過激さの先にある、緻密な衝撃を体験しよう

両性具有の美少年、鳰(左、声:金元寿子)と、金と酒に目がない博打打ちの惣二(右、声:葉山翔太)(「REVENGER」)
両性具有の美少年、鳰(左、声:金元寿子)と、金と酒に目がない博打打ちの惣二(右、声:葉山翔太)(「REVENGER」)[c]REVENGER製作委員会


いずれもインパクトが強く過激な表現が多いが、それは人の心理や社会に対する疑問など、まだ誰もそこまで深く掘っていないところまで深く掘り進めるからだろう。グロテスクだからとか過激だからと言って、序盤切りしてしまうのは実にもったいない。緻密な構成と張り巡らされた伏線の数々を回収したその先に、驚きと納得が待っている。虚淵玄の作品には、手で顔を覆いながら指の隙間から観てしまう刺激と魅力に満ちあふれている。

「REVENGER」は本日より、TOKYO MXほかにて放送開始。DMM TVにて本日25時より先行配信されたのち、1月9日(月・祝)よりほか各種サービスでも順次配信開始される。

文/榑林史章

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