2023年に注目すべき韓国スターは誰?映画ライターが目を奪われる“推し”韓流俳優10人
コメディで一際輝く!チョン・ジヒョン&今年の顔「ウ・ヨンウ弁護士」俳優のカン・テオ
チョン・ジヒョンさん。韓国映画やドラマへの扉を開いてくれた存在であり、永遠の推し。まず彼女の出演作を見て、共演者の作品を見て…と、世界が広がっていき、数々の名作に出会えた。とりわけコメディでのジヒョンさんは本当におもしろく、チャーミング。ヒット作でいうと「星から来たあなた」のチョン・ソンイはやはり愛おしい。ト・ミンジュンへのプロポーズは、彼女の明るさとかわいさ、強さと優しさがぎゅっと込められた名シーン。
そして2022年に挙げるなら、カン・テオさんも外せない。決してオーバーな芝居ではないのに、愛おしさやうれしさ、悔しさや悲しみ、感情の機微があふれ出る俳優。そして、それらをぐっと抑えるシーンこそ、眉の動きや瞳の曇り、声の抑揚が心情を雄弁に訴えかけてくる。「それでも僕らは走り続ける」では子どものように泣くシーンもあったが、抑えがあるからこそ解放したときのパワーも強い。彼だとすぐに分かる低い声や、タックインが似合うスタイルも魅力。
(ライター・新亜希子)
どこか守ってあげたくなる、ソ・ジフン&2022年賞レースを総なめしたイ・ジュノ
25歳なのに違和感無く高校生に見えてしまう童顔!黒目がちな瞳も子犬のようでたまりません。ご本人は自分のことを「無愛想」と言い、「善良でやさしいイメージを持たれるのが意外」とのことですが、どこか守ってあげたくなる魅力があって、ナイーブで繊細な役が本当にハマる俳優さんです。でも、デビュー作の「シグナル」では、集団暴行事件の主犯格。純粋な印象の外見のおかげで腹黒さが際立ちました。「青春ブロッサム」でも、一見優しいけどその裏にある冷たさを見せ、ギャップ萌え。「あいつがそいつだ」ではおちゃめな弟キャラで胸キュンさせてくれました。次回作は「天才占い師クム・テヨン(仮)」で、四柱推命で事件を解決する占い師役に挑戦。また新たな魅力にヤラれそうです。ここまでの私のイチオシキャラは「ケリョン仙女伝」の“クム先生”。ヒロインを一途に想う、とにかくやさしい癒しキャラです。疲れてる方は、クム先生を見て是非癒されてください。
「赤い袖先」のイ・サン役で、2022年の賞を総ナメしたと言っても過言ではないほどの大ブレイクを果たしたジュノは、“旬な俳優”として推したいです。俳優デビューとなった映画「監視者たち」で、短いながらも強い印象を残して以来、常に新しい姿を魅せる絶妙な作品選びで、着実に俳優としての地位を固めていき、ついに“ジュノ時代(シデ)”を手にしました。イ・サン役のために「王様が左ききではダメ」と、右手で箸が使えるように小豆を掴んで練習したり、入浴シーンのために過酷なダイエットをしたり、「ただ愛する仲」の時は、演じるガンドゥの孤独な気持ちを理解するために、わざわざ狭い部屋を借りてずっと引きこもって暮らしたり…と、正直「そこまでしなくても…」と心配になるほど徹底的に役に向き合うストイックな人です。次回作は少女時代のユナと「キングザランド(仮)」でラブコメに挑戦。また新たな顔を見せてくれるはずで今からワクワクします。私のジュノのイチオシ作品は「キム課長とソ理事」。キム課長にイジられ翻弄される理事の“ユル”が、たまらなくおかしくてキュートです。
(ライター・鳥居美保)
演技の引き出しがとてつもないチョン・ヨビン&繊細な演技が魅力のリュ・ジュンヨル
ドラマ「恋愛体質」と映画『少女』(17)を同時期に観て、文字通り“恐るべき”演技力に夢中になったチョン・ヨビン。その後の「ヴィンチェンツォ」、映画『楽園の夜』(21)、「グリッチ -青い閃光の記憶-」もまったく異なる役作りで、一体どれだけ演技の引き出しがあるの…?と新しい作品が楽しみでなりません。
男性ではドラマ「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」と映画『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(17)で自然で繊細な演技の虜になったリュ・ジュンヨル。最新作『Night Owl』は圧巻だった。このふたりが司会を務めた今年の釜山国際映画祭では開会式のチケットを死守、晴れ姿を目に焼き付けました。本当は映画での共演が観たい俳優たちですが、そのうち実現するのではないかと信じています。気になっているのは、「私の解放日誌」のク氏ことソン・ソック(チョン・ヨビン共演「恋愛体質 ~30歳になれば大丈夫 -」の雷監督もよい)、チョ・スンウとペ・ドゥナの推しコンビには、いつになってもいいので「秘密の森」シーズン3で再々共演して欲しい。
(映画ジャーナリスト・平井伊都子)
世界の名匠もラブコールを送る、パク・ヘイル
まるで子犬のような眼差しで母性本能を刺激する人物になったり、ゾッとするほど冷たい殺人鬼になったり、善と悪の狭間にいるようなミステリアスな雰囲気を醸し出したり。どんな顔にもなれる、というのがパク・ヘイルを推している最も大きな理由である。実際彼はニートやチンピラ、売れない映画監督から乱世の英雄に至るまで、安定の演技力で様々なキャラクターをこなし観客を魅了してきた。誰もが認める、ハンサムな顔はおまけ。おかげでパク・ヘイルは、韓国の巨匠監督たちの愛を一身に受けている俳優としても広く知られている。『パラサイト 半地下の家族』(19)のポン・ジュノ監督は、「もし自分が女性だったら一生パク・ヘイルを追っかけていたと思う」とコメントしているし、『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督は、最初からパク・ヘイルを念頭に置いて『別れる決心』(2023年2月17日公開)のシナリオを書いたと公言している。老若男女問わず、韓国で最も愛されている俳優の1人であるパク・ヘイル。『別れる決心』で第80回ゴールデン・グローブ賞やオスカーレースにも参戦する彼のさらなる活躍が楽しみで仕方ない。
(ライター・柳志潤)
構成/編集部