滝藤賢一と渋谷すばる「周りは全員敵だと思っていた」!?意外な共通点を持つ2人が語る、共鳴し合う想い

インタビュー

滝藤賢一と渋谷すばる「周りは全員敵だと思っていた」!?意外な共通点を持つ2人が語る、共鳴し合う想い

「この姿でステージに上がってスポットライトを浴びて、踊ったり歌ったりできたら、どんなに素敵だろう!って、本気で憧れが沸いた」(滝藤)

――今回滝藤さんご自身も、バージンという役を通してドラァグクイーンに扮してみて、いろいろと感じることや思うところがあったとおっしゃっていましたが、それはどういうところだったんですか?

滝藤「そこはひと言で語り尽くせない深いものだと思うんだけど、自分自身、初めての経験でもあったから、すごく不思議なエクスタシーを感じました。実際のドラァグクイーンの方に監修に入っていただいたこともあって、とてもリアルな世界観を表現できたんじゃないかと思ってはいるんですけど、自分がドラァグクイーンの衣装を付けてメイクをさせてもらったことで、まったく見えなかった世界が、少しだけ覗き見れた気がしたんです。自分が綺麗かどうかは別として、自分がメイクしてもらってどんどん変化していくことが、とてもうれしかったし、いままでには感じたことのない部分で自信が持てた感覚になったりもしたし、この姿でステージに上がって、お客さんの前でスポットライトを浴びて、僕は踊れはしないけど、踊ったり歌ったりできたら、どんなに素敵だろう!って、本気で憧れが沸いたんですよね」

渋谷「すごく綺麗でした。似合ってましたもん、滝藤さん。(滝藤さんには)見えなかったですね、本当に」

滝藤「それはうれしいね。でも、すごく不思議な体験だったし、貴重な経験でした」

渋谷「ドラァグクイーンの方々のメイクや衣装や生き様は、その人の人生そのものが詰まっているところだと思うので、すごく尊いですよね」

滝藤「そうだね。すごく強いこだわりがあるみたいだからね。女性に見られたらダメなんだって言ってた」

渋谷「そうなんですか?」

滝藤「そう。僕は役柄として、普段から女性というタイプを選択をしたから、女性らしい所作をすごく勉強して追求したけど、ドラァグクイーンの方は、そもそも女性に見られたら負けなんだって。そういう定義があるんだって聞きましたね。でも、もういまはその定義も崩れつつあるんだけどって、現状を話してくれたりもしたんだけど。中身は男でも女でもいい、誇張したメイクをして笑わせるっていうのが一番の使命みたいで。今回のバージン、モリリン、ズブ子の中では、ズブ子がいわゆるクイーンなんです、みたいなことを、監修をしてくれたドラァグクイーンのエスムラルダさんが言っていたんだよ」

渋谷「ヘぇ〜!そうなんや。究極のエンタテインメントですね」

【写真を見る】美しい!ドラァグクイーンに扮した滝藤賢一
【写真を見る】美しい!ドラァグクイーンに扮した滝藤賢一[c]2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

――“綺麗に見られたいという意識はあるけど女性に見られたらダメ”というところから、シーンの中で一つ、ここは滝藤さんの自然に出たアドリブなのでは?と思ったところがあったんです。ズブ子が彼にフラれて「もう帰る!」って言い出した時、みんなで止めるシーンがありましたよね。そこで一瞬、バージンさんの中の男が出るじゃないですか。

滝藤「あそこアドリブですよ。“いい加減にしろよ!なんなんだよ!”ってとこね(笑)」

渋谷「すごい!そうやったんや!」

――すごく自然だったし、“綺麗に見られたいという意識はあるみたいだけど、女性に見られたらダメ”というドラァグクイーンというか、オネエの本質を見抜いていらっしゃる演技だなと感じたんです。

滝藤「(左手を、曲げた右の肘に付けて、右手は小指を立てる感じで口元に当てる仕草で)そう?」

――滝藤さん、(オネエに)なってます。

渋谷「(滝藤さんの仕草に気づいて)ほんまや!」

滝藤「(自分の仕草にハッとして)あ、すみません(笑)」

渋谷「すごい、滝藤さん!めっちゃ自然やった!すげぇリアルやった!」

「女性らしい仕草」のために徹底して役作りを行ったという滝藤賢一
「女性らしい仕草」のために徹底して役作りを行ったという滝藤賢一[c]2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

滝藤「ああいうところでちょっと見せたかったんですよ。元は男なんだってところを、男男し過ぎないように見せたかったというか」

渋谷「あのシーンって、すごくリアルに感情が出てましたもんね。でも、そこがアドリブだったなんて。リアルさを感じて見入ってしまったところでもあったので、やっぱりすごいなって、改めて思いました。滝藤さん、やっぱりすごいですね」


滝藤「女性よりも女性っぽくしないと女性らしく見えないからね。そんななかで本質を見せていくことで、よりリアルになると思ったんです。そこで男を出し過ぎちゃうと男になっちゃうから、非常に難しかった。今回は、演じることが難しかったというより、自分を騙すのが難しかったんです。家でも私生活のすべてで女性らしくいようと思っていたから、歯を磨く時の仕草も、歩き方もずっと意識してたんだけど、そんな自分への気持ち悪さが拭い去れなくて。これはトランスジェンダーの方への偏見ではなくて、自分がなりきれていなくて、成立していないことへの気持ち悪さがあったんです。そこが本当に難しかった」

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