【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」最終回 私が歩いてきた道
母は今も昔もずっと私と懸命に向き合ってくれているのだった
今回のコラムを私は母へ送った。一番最初に書いた、拙い文章の自分の気持ちや想いをとりあえず書いたものを。すると母は私に電話で「ごめんね」と言った。自分でも気がつかなかった、今まで見ないふりをしていたものが、一気にあふれて止まらなくなった。父とうまくいかなかったのは確かだが、私の中のこびりついたものは、母に対するものだったのだ。私は電話で母に自分の思いの丈を話した。なんであの時ああ言ったのか、いつに戻ったらやり直しがきくのか、お母さんっ子だったからこそ、お母さんの言動は私を傷つけたんだよ、そんなことを話した。全て話したら、自分の長年密かに抱えていたものが、スッと落ちていくのを感じた。母はずっと、耳を傾けてくれた。母はなんとなくわかっていたそうで、あの時救いの手を差し伸べてあげられなかったこと、分かってあげられなかったことをずっと後悔している、だからこそこれから先なにがあっても受け止めるつもりだよ、と話してくれた。
私が小さかった頃、中高生だった頃、私のような性質の人間を世間はまだ知らなかった。世間が知らないのだから、親だって知らない。母は毎日仕事に追われながらも私のことで傷つき、たくさん悩んだ。そして今も昔もずっと私と懸命に向き合ってくれているのだった。私が過去に負った傷は、一つの思い出として、大切にしまうことにした。私も、もう前に進む時なのだと思うのだった。母はもう十分私を受け入れてくれた。今度は私が母を許し、あの時の母を理解する番だ。デリケートな家族の問題というのは、周りには分からない。トラブルもあるが、目には見えない築いてきた思い出もある。
痛くて孤独な時間があっても、大丈夫。それに勝るものがきっとあるから
生きるうえで、私が大切にしていることがある。知ること、興味を持つこと。信念を貫くこと。人の意見はまず受け入れてみる。何かに感情や感性を刺激され、自分の価値観や考えを築き、人に優しく生きる。自分が過ごしてきた時間に無駄な時間など一つもなく、生きてるだけでお金にはならないが、価値のある財産を築いているのだ。
人それぞれ、人と違ったところや人より上手くできないことがある。だがそれにとらわれないでほしい。否定したいところも、見方が違えば長所になると私は思う。自分に負けないで。私は私。人は人。
痛くて孤独な時間があっても、大丈夫。それに勝るものがきっとあるから。
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読者の皆さま、「MINAMOの話をきいてミナモ?」を楽しんでいただけましたでしょうか? SNSでたくさんの感想を送っていただき、本当にありがとうございました。
そしてこのたび、こちらの連載の書籍化が決定いたしました。発売日や内容などは決定次第お知らせしますのでぜひ楽しみに待っていてください!
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
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