妻夫木聡が男泣き!第46回日本アカデミー賞で『ある男』が作品賞を含めた最多8部門を受賞!
第46回日本アカデミー賞の授賞式が3月10日、グランドプリンスホテル新高輪にて開催され、石川慶監督作『ある男』(公開中)が作品賞を含めた最多8部門の最優秀賞を受賞した。同作で2度目の最優秀主演男優賞を受賞した妻夫木聡は、石川監督の長編監督デビュー作『愚行録』(17)でも主演を務めていたため、喜びもひとしおで「僕は彼の才能を一番間近で見ていたという自負があるので、本当にうれしいです」と男泣きした。
『ある男』は平野啓一郎の同名小説を、『蜜蜂と遠雷』(19)の石川監督が映画化したヒューマンミステリー。妻夫木は、亡くなった“ある男”の正体を追う主人公の弁護士役を演じた。作品賞を含め、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、録音賞、編集賞での最多8部門の最優秀賞を受賞した。庵野秀明の企画・脚本×樋口真嗣監督のタッグによる『シン・ウルトラマン』(公開中)は、撮影賞、照明賞、美術賞などの技術賞のみの最優秀賞に留まった。
最優秀主演男優賞を受賞した妻夫木は、『悪人』(10)以来、2度目の同賞に輝いた当時を振り返り「その時は舞台をやっていて、現場に行くことができなかったので、今回実際にいただくことができて、本当にうれしいです」と喜びをかみしめた。
妻夫木は、演じた弁護士役が非常に難しい役だったと振り返り「人間にはいろんな顔があると思ってから、ようやく腑に落とせました。その時に山田洋次監督から『妻夫木くん、“ある”ってことが大事なんだよ』と言われたことを思い返して、その言葉を頼りにこの役を演じさせてもらいました」と山田監督の名前も挙げ「これからも日本映画を盛り上げていけるように、皆さんと一緒に仕事をしていければいいなと思います」と抱負も語った。
『ケイコ 目を澄ませて』(公開中)で最優秀主演女優賞を初受賞した岸井ゆきのは、声をふるわせて涙を流し「身に余る賞をありがとうございます。三宅(唱)組でなかったら、誰1人欠けても私はここに立てなかったので、感謝しています」とキャストやスタッフ、同役のモデルである小笠原恵子の名前を挙げて礼を述べた。その後、あふれる映画愛を口にしてから、本作について「本当にこの作品には私が見たことのない景色をたくさん見せてもらいました。ぜひ劇場で観ていただきたいなと思っています」としっかりアピールした。
最優秀助演男優賞は『ある男』の窪田正孝が初受賞。石川監督の演出について「役の本当の底の底、中身のもっと深い部分を撮りたいと言われ、裸よりも恥ずかしいぐらい、全部をむき出しにするくらいにやって、それをサクラさんが受け止めてくれました」と共演の安藤サクラに感謝し「本作で映画祭にも行かせてもらい、映画の力は本当に無限だし、人の心を温めてくれるなと思いました。役者という仕事をできていることに本当に心から感謝しています」と言葉をかみしめた。
最優秀助演女優賞に輝いたのは『ある男』の安藤サクラだ。助演では初の最優秀賞となったが、『万引き家族』(18)や『百円の恋』(14)の2作で、最優秀主演女優賞を受賞している。本日、本作の撮影中に女優業と子育ての両立に悩み、休業を考えたということも明かした安藤は「自分が情けなくて。カッコ悪いなと思いながら壇上にいたので涙が出てしまいました」と涙する。
さらに「現場の最中に、やっぱり現場がすごく好きで、撮影の皆さんのなかにいることがなによりも好きなんだとはっきり思えました。ただ、子育てと撮影の両立は、いまのところ上手くできない。システム的なこともあると思いまますが、悩みつつも、家族で会議をしながら、みんなで協力しあって、また大好きな現場に戻れたらいいなと思ってます」と、仕事への熱い想いとともに課題も述べた。
2022年に公開された作品を対象に、映画業界に携わる3935名の日本アカデミー賞協会会員の投票によって選ばれる同賞。最優秀アニメーション作品賞は『THE FIRST SLAM DUNK』(公開中)が、最優秀外国作品賞は『トップガン マーヴェリック』(公開中)が受賞。司会はフリーアナウンサーの羽鳥慎一と、有村架純が務めた。授賞式の模様は同日21時より日本テレビ系(全国29局ネット)で放送された。