『ちはやふる』から『ジョジョ』『るろうに剣心』まで…『聖闘士星矢 The Beginning』へと至る新田真剣佑の現在地を探る
すべてはこのためにあったに違いない!ピュアな笑顔と父親のDNAを受け継ぐ強靭な肉体で以前から規格外の活動を続けていた新田真剣佑だが、彼のハリウッド映画初主演作『聖闘士星矢 The Beginning』(公開中)を観れば、そう確信する人は少なくないはずだ。
競技かるたに青春を捧げる高校生を好演した『ちはやふる』
生誕地のアメリカから日本に拠点を移した新田が日本で多くの人に知られるようになったのは、2016年の『ちはやふる -上の句-/-下の句-』、2018年の『ちはやふる -結び-』で競技かるたに情熱を燃やす高校生の綿谷新を演じた時だろう。本作では小泉徳宏監督の指示で、『上の句』の撮影に入る前に映画の舞台となる福井で2週間の一人暮らしを実践。アルバイトをしながら福井弁を自分のものにし、競技かるたの猛特訓を受けて天才的なプレイをする新に説得力を持たせていたのも記憶に新しい。本作が新田自身にとっても大切な映画になっていることは、2017年に自分が演じた綿谷新から一文字をもらい、芸名をそれまでの「真剣佑」から「新田真剣佑」に変えたことからも明らかだ。
スタンドバトルを実写で体現した『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』
そして、荒木飛呂彦の大ヒットコミックを「クローズ」シリーズの三池崇史監督が映画化した2017年『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』では、新田の卓越した身体能力と役への没入感を早くも目の当たりに。本作では、山崎賢人が演じた主人公、東方仗助と激闘を繰り広げる虹村兄弟の弟、億泰を原作コミックそのままの奇抜なヘアとコスチュームで体現。兄の形兆(岡田将生)を尊敬しながらもちょっとおバカでキレやすい億泰に鋭い瞳で命を吹き込み、劇中の登場人物たちが使用するシリーズ特有の特殊能力“スタンド”の一つであり、右手で掴んだ物を空間ごと削り取る“ザ・ハンド”を発動させるシーンもCGとの融合による渾身のパフォーマンスでリアルなものにした。
天才ドライバーを荒々しく演じた『OVER DRIVE』
さらに2018年の『OVER DRIVE』では、自らが演じた世界ラリー選手権を目指す天才ドライバーの檜山直純に説得力を持たせるために、約2か月におよぶ筋力トレーニングで過酷なレースにも耐え得るボディに肉体改造。実際のラリーカーの助手席にも乗り、走行中のドライバーの目や足、手と首の動きも取り入れながら危険を承知で攻めの走りを続ける直純の勝ち気なキャラを印象づけた。東出昌大が演じたメカニックの兄、篤洋と衝突するシーンは、生真面目な性格の兄との違いが際立つ生々しいものに。新田の親友、北村匠海も直純とは真逆の沈着冷静なライバルのドライバー、新海彰を完璧に作り上げたことで、2人のラリーバトルがより熱くてスリリングなものになっていたのを覚えている。