実写版『聖闘士星矢』は、アメコミ映画の流儀で描かれたヒーローの“誕生編”だ!杉山すぴ豊が解説
「アクションはもちろん、テレビアニメ版を思わせる表現にも注目!」
そのうえで、「聖闘士星矢」の核になるのが聖闘士たちのアクション。本作にも、地下格闘技の世界で生きる星矢の格闘アクションに始まり、カーチェイス、銃撃戦、戦闘ヘリによるスペクタクル、そして小宇宙(コスモ)を燃やして激突する聖闘士バトルが描かれる。「アクションはどれも迫力があり、見やすく描かれていました。クライマックスはマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に近いものがあって、格闘アクションを展開しつつ、最後にはSFやファンタジックな要素が出てくる快感が味わえます。マーシャル・アーツ系のアクションだけでは終わらせないところは、流石にうまく作っていますね」と称賛。
聖闘士たちが戦闘で身に着けるクロスもテレビアニメ版をさらに発展させたようなアーマー風のデザインで、テレビアニメ版同様に装着シーンも見せ場になっている。「クロスはペンダント状になっていて、装着する時に巨大化してモチーフになっている聖獣が登場人物のバックに現れ、ガシャガシャと変形しながら体を覆っていくところもきちんと描いていましたね。このあたりのトランスフォームはどうするんだろう?と思っていたら、アニメに近い表現になっていたので、注目してみてください」。
「豪華なキャスティングと、真剣佑さんの筋肉も必見です」
本作は新田真剣佑のハリウッド初主演作としても注目を浴びている。カリフォルニア生まれの新田はこれまでも『パシフィック・リム:アップライジング』(18)などハリウッド映画に出演してきたが、本格的に主人公を演じるのはこれが初めて。「この実写化でもっとも大切だと思うのは、星矢を演じるのが東洋人でなきゃいけないということ。真剣佑さんはアクションができるのはもちろんですが、暗い境遇の影響でアウトサイドに走ってしまう役が一番似合う俳優だと思うんです。それは『るろうに剣心 最終章 The Final』や『鋼の錬金術師 完結編』でも実証済みですよね。筋肉質に鍛え上げられた肉体もすごかったです!」と絶賛する。
脇を固める共演陣も豪華だ。星矢を見いだすアルマン・キドを演じるのは、「ロード・オブ・ザ・リング」や「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズのショーン・ビーン、ヴァンダー・グラード役に前述の「X-MEN」シリーズでジーン・グレイを演じて人気を博したファムケ・ヤンセンと、ハリウッドスターが出演。日系人を母に持ち、近年では『ジョン・ウィック:パラベラム』で強い印象を残したマーク・ダカスコスも、執事のマイロック役で切れ味鋭いアクションを披露した。また、「ジュマンジ」シリーズで注目されたマディソン・アイズマンがシエナを演じ、原作やアニメとはまた違うアクティブなキャラクターになっているのも本作の魅力といえる。「豪華なキャスティングですよね。ファムケはシンガー版『X-MEN』のヒロインじゃないですか。彼女が演じたジーン・グレイはダーク・フェニックスになるキャラクターなので、“フェニックスの聖闘士”と戦うグラード役はねらってキャスティングしたのか気になります(笑)。マイロックを原作どおりにスキンヘッドでダカスコスが演じてくれたのもよかったです」と、実力派で固められたキャスティングに納得。