メットガラのベストルックを総まとめ!今年のテーマ「Karl Lagerfeld: A Line of Beauty」を完璧に表現したのは?
昨今のCHANELミューズであるクリステン・スチュアートは、シックでハンサムなルックで登場。オリジナルは、ジゼル・ブンチェンが思い出にあげた2017年CHANELリゾートコレクションで発表されたもの。ホワイトとブラックのベーシックなカラーパレットだが、ブレザーはクロップされていて、ボトムのたっぷりさとコントラストをつけている。クラシックなルックだけれど、このルックを選ぶことやヘアメイクが、エッジィでとてもクリステンらしい。
主演作が続く大人気女優のマーゴット・ロビーも、CHANELアンバサダー経験あり。彼女いわく、カールによって直接指名された最後のアンバサダーだとか。マーゴットがインタビューで明かしたとおり、披露したのは、CHANEL 1993年春のクチュールコレクションで、シンディ・クロフォードが着て発表されたピースを彼女用にリモデルしたルック。スイートハートネックラインから大胆なサッシュとつながっていて、ウエストはシースルーのコルセットというデザイン。コルセットのストラップは、CHANELバッグのハンドルなどにも使用されている、シグネチャーであるウーバン(織物素材)・ゴールドチェーンだ。ヘアメイクも同様、ディテールにこだわり派手さをおさえることで、洗練されたスタイルを披露した。
カールのアーカイブより着想を得たルックを、レッドカーペット用に選んだ1人は、2022年にグラミー歌手の仲間入りをしたリゾ。ブラックのなめらかなラインのブラックガウンには、1991年秋冬レディトゥウェアのショーで、リンダ・エヴァンジェリスタが着用したルックからインスパイアされたパールのラインが仕立てられている。カールと言えばパール!というぐらい代表的なアイテムだから、イヤリングやシューズにつけたアンクレットも含め、アクセサリーはパールで統一した。ガラでのパフォーマンス時にはCHANEL同様、カールがデザイナーを務めたブランドのひとつであるFENDIをチョイスして、ゲストたちを楽しませたそう。
続いてはアン・ハサウェイ。ファッションの世界に残したカールの功績を称えるために、ガラには多くのデザイナーが集結。そのなかでも、VERSACEのアンバサダーを務めるアンのために、ドナテラ・ヴェルサーチェがアトリエ・ヴェルサーチェで制作したルックは、圧倒的なクオリティ!CHANELのシグネチャーであるツイードのホワイトガウンは、ディテールにパールを、胸元にはカールとココ・シャネルがこよなく愛したカメリアのデザインをあしらった。ドレスの生地同士は、ヴェルサーチェのアイコニックなデザインである、ゴールドの安全ピンで繋ぎ、2つのブランドを華麗に紡いだ。インタビューでアンが、「これはCHANELとVERSACEの結婚(マリアージュ)の実現」と言っていたとおり、こんなおしゃれな結婚、ほかにない!ハーフアップにしたヘアスタイルにも、髪の毛でカメリアを作って、もう最高。カールのブランド以外のルックで、これにかなうものはいなかったと言える!
ドレスコードはカールだもの!それを忠実に守る者に、ファッションの神様はほほ笑む
ヒップホップアーティストのカーディBは、レッドカーペット用にお色直しして参加。ボールガウンはCHEN PENG(チェン ペン) のもので、カメリアにインスパイアされた彫刻作品のような花がふんだんにあしらわれている。ボディスのウエストあたりと、耳元はパールで飾った。それに合わせたのは「カールといえば?」のアイテム。ホワイトのシャツ、ブラックのタイ、ブラックのグローブなどすべて盛り込んだ、カールになりきっちゃうスタイル!極めつけは、あのカールのシルバーヘアまで再現!
全米女性が憧れる“もっともかっこいい肉体”をしたシンガーソングライターのテヤナ・テイラーが選んだのは、トム・ブラウンのカスタム・セットピース。背中が大きく開いたバックレスなジャケットは、カールのアイコニックなアイテムであるグローブと一体になった仕様。マッチさせたロングスカートは、腰まで落とされたローライズで、彼女の肉体美を余すことなく魅せている。それに合わせたのは、カールの愛したホワイトのシャツにブラックのタイ、そしてポニーテールとサングラス。きっとカールは喜んでいるに違いない!
文/八木橋 恵