画家・ヒグチユウコが表現する『M3GAN/ミーガン』の世界。せつない運命をたどる"人形もの"の魅力とは?
『パラノーマル・アクティビティ』(07)、『ゲット・アウト』(17)のジェイソン・ブラム率いるブラムハウスと、「ソウ」シリーズや「死霊館」ユニバースのジェームズ・ワンが手を組んだ人形スリラー『M3GAN/ミーガン』が6月9日(金)に公開される。
交通事故で両親を亡くし、悲しみからふさぎこんでしまった9歳の少女ケイディ(ヴァイオレット・マッグロウ)。おもちゃメーカーの才気あふれる研究者ジェマ(アリソン・ウィリアムズ)は、姪であるケイディを引き取るものの、仕事ひと筋の独身者にとって育児は苦労の連続だった。そこで彼女は研究段階のAI搭載の人形、M3GAN(ミーガン)を、実験を兼ねてケイディに与えることに。ケイディはミーガンとの交流によって笑顔を取り戻していくが、ミーガンのなかに芽生えたケイディへの愛情は、やがて狂気へと変わっていく。
AI人形の愛情と狂気を描いた本作を、画家・絵本作家で『ミッドサマー』(19)や『LAMB/ラム』(22)、『Pearl パール』(7月7日公開)などのポスターアートで知られるヒグチユウコが、描き下ろしのイラストで映画の世界観を表現。ホラー、スリラーの映画ファンでもある彼女に、『M3GAN/ミーガン』や人形への想いを語ってもらった。
「ミーガンとケイディはまるで人形と人間で対になってるみたい」
映画を観終えた感想を尋ねるとまず「可愛い映画」とひとこと。「ブラムハウスの作品でジェームズ・ワンがプロデュースなのでもっとホラー色が強いのかと思っていたら、思っていたより可愛らしいお話でした。『マリグナント 狂暴な悪夢』もそうでしたが、ジェームズ・ワンは若い人も楽しめる方向を意識したのではないでしょうか」と分析する。
劇中で描かれるのは、最先端のテクノロジーによって生まれた人形が狂気に走っていく恐怖。シンギュラリティやChatGPTに代表される対話型AIがメディアをにぎわす今日、最も旬なテーマを扱った作品だ。「AIがテーマの映画はたくさんありますが、その怖さは制御不能に陥ること。リメイク版『チャイルド・プレイ』でもチャッキーはAIで動いていました。最初は『なぜブードゥー教じゃないの?』と思いましたが、前作と同じことをしても意味がない。現実に存在し、もう逃れることのできないAIにはリアルな怖さがありますね」。
本作でひと際目をひくのが、タイトルロールのAI人形M3GAN(ミーガン)。あどけなさとファッションドールを思わせるゴージャスなルックが魅力の等身大の人形だ。「ビジュアル的に可愛い少女であることは映画にとって大切な要素だと思います。ミーガンとケイディは容姿がよく似てるじゃないですか。まるで人形と人間で対になってるみたい。背丈も同じくらいだし仲のよい友達同士に見えるだけに、どんどん悪の道に手を染めていくミーガンによりすごみを感じました」。
しかし両親を亡くして間もないケイディにとって、いつもそばにいてくれるミーガンは無二の存在になっていく。「成長期の子どもは友達から大きな影響を受けますよね。親がどれだけ子どもと接しているかに関わらず、仲の良い友達や影響力のある友達の言葉のほうがその子の人生を左右してしまう。ミーガンのような存在を年頃の子どもにあてがう怖さを感じました」。
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