ハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャム、リーアム・ニーソン…探偵フィリップ・マーロウを演じてきた名優列伝
レイモンド・チャンドラーの人気ハードボイルド小説に登場する、私立探偵フィリップ・マーロウ。彼を主人公にした映画は70年代から何本も製作されている。アクション俳優として知られるリーアム・ニーソンがそんなフィリップ・マーロウを演じる『探偵マーロウ』が6月16日(金)に公開される。本作の公開をきかっけに、Amazon Prime Video チャンネル「スターチャンネルEX」では、「フィリップ・マーロウ特集」として、『ロング・グッドバイ』(73)、『さらば愛しき女よ』(78)、『大いなる眠り』(78)を6月19日(月)から配信する。映画、音楽、文学など特にアメリカのポップカルチャーに精通するライター、長谷川町蔵が、マーロウを演じてきた名優たちを振り返りながら、本シリーズの魅力を紐解く。
ハンフリー・ボガートも演じてきた探偵マーロウにリーアム・ニーソンが挑む
2023年に映画デビュー45周年を迎えるリーアム・ニーソン。近年はアクション・スターとしての主演作が続く彼が、出演映画100作目となる『探偵マーロウ』で演じることになったのは、あの私立探偵フィリップ・マーロウだった。
これまで『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』(99)などでクワイ=ガン・ジン、『バットマン ビギンズ』(05)などの「ダークナイト」三部作でラーズ・アル・グールと、ハリウッド映画を代表する大作サーガで重要キャラクターを演じてきたリーアムが「ずっと演じてみたいと思っていた」と語るマーロウとは、一体何者だろうか。
フィリップ・マーロウを生み出したのは米国の小説家レイモンド・チャンドラーである。物語を軽妙な一人称で語り、警察やギャングに楯突きながら事件を追う彼は、ハードボイルド小説におけるアイコンとなった。
「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」
「タフでなければ生きていけない。優しくなれなければ、生きている資格がない」
「さよならをいうのは、少しの間死ぬだけだ」
といった名言を作り出す詩人でもある。
そんなマーロウを主人公とするチャンドラーの長編小説は以下のとおりである(カッコ内は発表年)。
「大いなる眠り」(39)
「さらば愛しき女よ」(40)
「高い窓」(42)
「湖中の女」(43)
「かわいい女」(49)
「長いお別れ」(53)
「プレイバック」(58)
チャンドラーの拠点は映画の都ロサンゼルスにあり、彼自身も『深夜の告白』(44)や『見知らぬ乗客』(51)といった映画の脚本に関わっていたため、物語の中には映画産業への言及も多い。このためかほとんどの作品が実写化され、ジェームズ・ガーナー、ジェームズ・カーン、ジョージ・モンゴメリー、ロバート・モンゴメリーらがマーロウを演じてきた。
そのなかで最初の傑作と言えるのが「大いなる眠り」を原作に、ハワード・ホークスが監督した『三つ数えろ』(46)だ。マーロウを演じたのはハンフリー・ボガート(以下、ボギー)。公開前は身長185cmという設定が有名なマーロウを身長173cmのボギーが演じることに異議を唱える原作ファンが多かったそうだが、原作で「背が高いのね」と言われるシーンを「意外と背が低いのね」に書き換えるギャグで一蹴。ボギーと妻でもあった相手役ローレン・バコールのケミストリーの妙もあって、現在でもチャンドラーうんぬんを超えたハードボイルド映画の歴史的傑作とみなされている。
Amazon Prime Video チャンネル「スターチャンネルEX」配信情報
6月19日(月)から配信開始
■『ロング・グッドバイ』
■『さらば愛しき女よ』
■『大いなる眠り』
【スターチャンネル 放送情報】
■『ロング・グッドバイ』
[STAR2 字幕版]6月19日(月) 21:00~/6月24日(土) 16:50~
■『さらば愛しき女よ』
[STAR2 字幕版]6月20日(火) 21:00~/6月28日(水) 8:00~
■『大いなる眠り』
[STAR2 字幕版]6月21日(火) 21:00~/6月27日(火) 10:15~
STAR CHANNEL MOVIES 『探偵マーロウ』公開記念!