満場の観客から拍手喝采!『エゴイスト』鈴木亮平と松永大司監督がニューヨークの地で語った、力強い決意と友情|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
満場の観客から拍手喝采!『エゴイスト』鈴木亮平と松永大司監督がニューヨークの地で語った、力強い決意と友情

インタビュー

満場の観客から拍手喝采!『エゴイスト』鈴木亮平と松永大司監督がニューヨークの地で語った、力強い決意と友情

7月にニューヨークで行われた第22回NYアジアン映画祭(NYAFF)は、アジア諸国の選りすぐり新作映画をNYの観客に紹介する映画祭として知られている。2009年からは、アジア映画の未来を期待する俳優に「ライジングスターアワード」を授与している。2023年は鈴木亮平がこの栄えある賞を受賞し、『エゴイスト』(23)のNYプレミアが行われたリンカーンセンターの劇場で授与式が行われた。松永大司監督と共に登壇した鈴木亮平は英語で受賞スピーチを行い、満場の観客から盛大な拍手を受けた。

『エゴイスト』鈴木亮平と松永大司監督がNYアジアン映画祭に登壇
『エゴイスト』鈴木亮平と松永大司監督がNYアジアン映画祭に登壇

日本では今年2月に劇場公開された『エゴイスト』は、幼いころに母を亡くした浩輔(鈴木亮平)が、恋人(宮沢氷魚)とその母親(阿川佐和子)との交流を通じ、自身の真の歓びに気づく物語。高山真の自伝的小説をもとに松永大司監督が映画化し、今秋北米でも劇場公開される。

授賞式で、NYAFFエグゼクティブ・ディレクターのサミュエル・ジャミエは「『エゴイスト』は、今年観た映画のなかでも最も感情を動かされた作品でした。私たちは鈴木亮平の『変態仮面』を初めて世界に紹介した映画祭の一つで、この映画は映画祭が常に求めている、思いもよらない観賞後感を与えてくれる作品でした。キャリア初期から鈴木亮平は常に役者としての強いこだわりを映画に投影してきました。役者というものは、時に誤解を受けやすいものです。映画を象徴する存在であるとともに、最も傷つきやすい存在です。文字通り、自分の身体と声を大衆の前に突き出すのですから」と、大胆不敵で献身的な役作りを称賛。出演作を長年追ってきた自負とともに、輝くトロフィーを手渡した。

今年2月に公開された『エゴイスト』。鈴木亮平と宮沢氷魚がゲイのカップルを演じた
今年2月に公開された『エゴイスト』。鈴木亮平と宮沢氷魚がゲイのカップルを演じた[c]2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

タキシード姿で壇上に上がった鈴木は「この光栄な賞をいただきどうもありがとうございます。NYAFFはNYで行われる映画祭ということで、特別にうれしいです。15歳の時、初めて訪れたこの街にすっかり恋をしてしまいました。今夜皆さんに観ていただくこの映画は、僕にとってとても大切な作品です。この映画に関わってくださったすべての方々、特にここに一緒にいる松永大司監督に感謝いたします。今作の出演オファーを受けたのは、原作小説と作者の高山真さんに惚れ込んだからでした。彼はこの映画の撮影準備を始める前に亡くなってしまい、完成した映画を観ることはありませんでした。でも今夜、彼はきっとどこか上のほうから僕らを見てくれていると思います」とスピーチを行った。

上映が行われた現地時間7月15日は、映画俳優組合(SAG-AFTRA)がNYとLAの二都市でストライキを行っていた。「いま、アメリカの俳優たちが自分たちの権利のために懸命に闘っている姿に、アジアの俳優としてもとても刺激を受けています。SAG-AFTRAのすべてのメンバーに敬意を表すと共に、彼らの威厳をかけた闘いを支持したいと思います」と、力強いステートメントでスピーチを締めた。


今年の第94回アカデミー賞で作品賞・主演女優賞など最多7部門を受賞した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)や、昨年の第74回プライムタイム・エミー賞で、「イカゲーム」が英語以外の作品として初めてドラマ部門主演男優賞や監督賞など6部門で受賞するなど、アメリカに限らず世界中でアジア系クリエイターによる作品が注目を集めている。だが、北米で6月に公開された『Past Lives』やNetflixで配信中の「BEEF/ビーフ」などは、アジア系クリエイターが関わっているが、人種に限らないユニバーサルな主題を描き高評を得ている。このような時流の変化の影には、ハリウッドでマイノリティとされながらも地位と権利を闘い続けてきたアジアン・アメリカンの存在がある。彼らに多大なる敬意を払うとともに、アジアの中の日本人俳優として大きな期待を寄せる。

「A24が、韓国系カナダ人のセリーヌ・ソン監督と韓国系アメリカ人のグレタ・リーと作った『Past Lives』を観て、このようなアメリカ映画が、しかもこんなにも上質な形で作られているんだと驚きました。僕が大好きなNYの、見たことのある景色が美しく捉えられていて、こういうアメリカ映画の存在にとてもワクワクしました。アジア人やアジア映画が世界に出ていくことも素晴らしいと思いますが、アメリカのアジアコミュニティからハリウッド映画が作られていく今の状況に、僕もとても誇らしい気持ちでいます」と述べた。

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