“大人の女性と少年”の組み合わせ、予定調和ではないアクション…行定勲監督が『リボルバー・リリー』制作秘話を語る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
“大人の女性と少年”の組み合わせ、予定調和ではないアクション…行定勲監督が『リボルバー・リリー』制作秘話を語る

インタビュー

“大人の女性と少年”の組み合わせ、予定調和ではないアクション…行定勲監督が『リボルバー・リリー』制作秘話を語る

行定勲監督が、長浦京の同名小説を綾瀬はるか主演で映画化したアクション大作『リボルバー・リリー』が公開中だ。大正末期の東京を舞台にド派手なガンアクションが展開する本作、長谷川博己羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズ Jr.)、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー(SixTONES)、佐藤二朗、豊川悦司ら実力派キャストの豪華競演も話題となっている。

公開後、「邪念が消え失せ、物語の中に完全に入り込んで観た映画は久しぶり」「空想活劇の世界観で本当に楽しませてくれた」など、その世界観に魅せられたという観客の声が目立つが、なかでも「綾瀬はるかがいることで、場が凛とする」「映画の衣裳と相まって本当にスクリーンに映えていた」「銃を持って戦う姿は、女性の俳優のなかで綾瀬さんが一番似合うと思う」などダークヒロイン、小曾根百合役を演じた綾瀬はるかの存在感に称賛が集まっている。

ダークヒロイン小曾根百合役で、新たな代表作を掴んだ綾瀬はるか
ダークヒロイン小曾根百合役で、新たな代表作を掴んだ綾瀬はるか[c]2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ

MOVIE WALKER PRESSでは、新潟、福岡、仙台と監督が地方プロモーションを行うさなかの行定監督に独占インタビュー。綾瀬の映画初出演作品であるオムニバス映画『Jam Films』(02)の1本である『JUSTICE』から彼女を見てきた監督ならではの、女優としての綾瀬はるか、小曾根百合というキャラクターに込めた想い、長谷川博己とのコンビネーションまでを聞いた。

初のアクション作品を手掛けた行定勲監督に独占インタビュー!
初のアクション作品を手掛けた行定勲監督に独占インタビュー![c]2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ

「最初からもう、『これが百合なんだな』と思わせてくれた。むしろ僕はそれを受け止める側でした」

撮影現場で、「綾瀬さんは自分の映り方にすごく厳しい」と語っていた行定監督。監督から見て、「あ、いま小曾根百合になったな」とスイッチが入った瞬間はあったのだろうか?「最初からもう、『これが百合なんだな』と思わせてくれた。むしろ僕はそれを受け止める側でした」だと言うが、その理由として、綾瀬はるかの“ブレなさ”を挙げる。

アクション監督がOKを出しても、自分で自分にダメ出しをするほどストイックだったという綾瀬はるか
アクション監督がOKを出しても、自分で自分にダメ出しをするほどストイックだったという綾瀬はるか[c]2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ

「撮影はアクションシーンではなく、なにげないショットから始まったんですが、歩き方からなにからブレがない。百合が森の奥からずっと歩いてくるシーンがあるんですが、視点もこちらを見据えたままで、揺るぎないものを感じる。僕、あのシーンがものすごく好きで。『これが百合なんだ』と思わせてくれる説得力があったんです」。

品の良い言葉遣い、語尾までキリッと言い切る“発話”も、百合のキャラクターを際立てている。「綾瀬さんに古い映画を観ておいてください、とお願いした記憶はあります。例えば、声優さんが古い外国映画のアテレコをする時なんかは、古めかしいニュアンスがちょっと混ざって、丁寧な語尾になったりする。本人もその感覚はわかっていたので、綾瀬さんの芝居はまさにドンピシャでした。撮影の序盤は“ちょっとやりすぎかな?”と思っていたんだけど、聞いていくうちに心地よい。というか、“百合はそういう話し方なんだ”と自然と思えた。一方で、(古川琴音演じる) 琴子ちゃんは琴子ちゃんで、丁寧な口調なんだけどいまっぽいという“現代っ子”なアプローチをねらっていました。2人の対比がハマればいいなと」。

“現代っ子っぽさ”を体現した古川琴音。琴子は年の近い慎太に目をかける
“現代っ子っぽさ”を体現した古川琴音。琴子は年の近い慎太に目をかける[c]2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ


行定監督は、『リボルバー・リリー』の公開に合わせ、著書「映画女優のつくり方」を発売したばかり。綾瀬はるか、沢尻エリカ、竹内結子、長澤まさみ、薬師丸ひろ子、吉永小百合…日本を代表する女優たちについて、撮影時のエピソードを交えて語っている。この本の中でも綾瀬について「映画にしか映らない気品」「体幹のよさがすばらしい」と言葉を寄せる。改めて、女優・綾瀬はるかの魅力を聞いてみると、「実は、謎多き人」と意外な答えが返ってきた。

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「常に “女優の綾瀬はるか”しか見えない。バラエティもたくさん出ているけれど、女優として成り立っているものしか出ない。そういう意味では、昔の女優さんみたいなのかな。みんな勝手に、綾瀬はるかって少し天然で、柔和で、かわいらしい人って思っていると思うんですけどね。彼女自身が、実は自分の知性みたいなものも含めて、世の中に出しすぎたくないのかもしれない。パーソナルなものだから。だって知的じゃないと、この映画で発揮している“ブレなさ”とか、ああいう選択は出来ないですよ。努力家だし、本人の中で品格みたいなものを育て上げている人だな、と感じています」

綾瀬はるかの内に秘めた“知性”を絶賛する行定監督
綾瀬はるかの内に秘めた“知性”を絶賛する行定監督[c]2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
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