「期待以上に怖い」「終始驚かされた」韓国都市伝説×Jホラー『オクス駅お化け』、映画ファンの感想は?
怖いだけじゃない!主人公の奮闘に共感の声も「前向きな気持ちになった」
そんななか「怖かった」という感想と並ぶほど多く寄せられていたのが、意外にも「スカッとした」や「前向きな気持ちになった」という声。ホラー映画に似つかわしくないこうした感想は、いったいどこからやってきたのだろうか?
その理由は「現代の若者の姿と重なる点も多かったと思う」(30代・女性)という感想をはじめ、主人公のナヨンが置かれた社会人としての境遇に共感する人が続出したためだ。仕事で思いがけないミスをしてしまったナヨンは、社長からの理不尽な要求に応えるために“バズる”記事を書こうと奔走。それがきっかけで、オクス駅の奥底に潜んだ闇に触れてしまう。
「バズり至上主義のような業界の描き方がリアルで印象に残りました」(50代・男性)
「バズるためになにをやってもいいということに順応していく姿が恐ろしい」(50代・女性)
登場人物たちをメリハリの利いた描写で映しだしていく点は、韓国のクリエイターたちによって昇華されたポイントと言えるだろう。「パワハラ発言をされても前向きにリセットして受け入れる主人公の強さがすばらしい。私ならあんな会社1日でやめます」(30代・女性)というコメントも寄せられており、観客の多くが主人公に寄り添いながら物語を味わっていたことがよくわかる。
さらに「最初はおどおどしていたが、だんだんたくましくなっていくところ」(40代・女性)と、ナヨンの奮闘ぶりに深く共感した観客たちは、皆一様にラストで彼女が取る行動をまるで自分のことのように捉え、痛快に感じていたようだ。
「最後の展開がスカッとしました」(40代・男性)
「最後のシーンは私もそうすると思った」(20代・女性)
「スカッとした。私も同じことをすると思う」(30代・女性)
「あまりいい奴じゃないなと思ったが、最後はかなり共感できた。嫌な奴に報復するのは新しい」(30代・女性)などなど、ほかにも多数、同様の声が寄せられた。
このように意外なところで観客を沸かせた本作は、ほかにも「恐怖だけでなく謎解き要素があってハラハラしました」(40代・女性)と、ミステリーとして楽しむこともできるようだ。
また、「子どもであろうが大人であろうが、人の恨みはそんな簡単にはれたりしない」(30代・女性)や「供養くらいで積年の恨みは晴れない…」(30代・女性)という感想にもあるように、物語が進むにつれて明らかになっていくオクス駅の秘密に「考えさせられた」や「胸を締め付けられた」という声も。高橋洋は脚本を執筆するにあたり、原作にある都市伝説に「戦後日本のおぞましい事件」の要素を加えたことを明かしている。いったいオクス駅にはどんな痛ましい過去があるのだろうか…。
そして「80分にまとまっていて、余計なところを省いて最後はスカッとさせてくれてよかった」(30代・女性)といったように、恐怖やスリル、ドラマ性などのあらゆる要素がギュッと凝縮され、特急電車のように一気に駆け抜けていく不思議な爽快感には、多くの賛辞が寄せられた。
「期待していた以上に怖くておもしろかった」(20代・男性)や「続きが見たい!ぜひ!」(40代・女性) など、日韓クリエイターのコラボレーションによって生み出された本作は、確かに映画ファンの心を掴んでいたようだった。
文/久保田 和馬