土屋太鳳&佐久間大介が心掛けている人間関係の作り方とは…“出会い”を描く映画『マッチング』で考えたこと
「作っている時のほうが混沌としていた気がします」(佐久間)
――作品全体に関してはどのように感じましたか?
土屋「台本を読んだ時、演じている時、出来上がったものを観ている時とその都度印象が全然違っていて…」
佐久間「わかるー!」
土屋「出来上がったものを観て感じたことが一番シンプルだったというか、意外にスッと作品が入ってきたというのかな。例えば、映画とか漫画とか、作品のなかでは手術のシーンってすごく複雑で大変な感じに描かれるじゃないですか。でも、お医者さんによると実際の手術は意外とシンプルらしくて。その感覚に近い気がしました。やっている時は辛すぎるし、目の前のことを乗り越えることに必死。だけど編集されて1本の映画になったらシンプルで受け入れやすく感じて。辛いことばかり起きるし、許せない人もたくさん出てくるから、撮影中も物語に反抗している自分がいたけれど、意外とシンプルに楽しんでもらえる作品になっていると思います」
佐久間「僕もやっている時のほうが頭のなかがごちゃごちゃしていました。吐夢のことばかり考えていたし、わからなくなることも多かったけれど、出来上がった作品を観たら、めちゃめちゃわかりやすくなっていて。台本では想像できなかったこと、自分が出ていないシーンとのつながりを見て納得したり。作っている時のほうが混沌としていた気がします」
土屋「確かに。でも、そんなものですよね。やっている時のほうが辛いっていうのかな」
佐久間「演じながらごちゃごちゃしている自分とはまた違う“濁り”が作品に出ていて良かったなと思います。演じる側としても観る側としても楽しめました。僕的にはやさぐれている太鳳ちゃんのお芝居が新鮮でした。仕事場で休憩に入って『あー、だるっ』みたいな感じなどは、これまでの太鳳ちゃんのイメージになかったので、お芝居でしか見られない貴重な部分かなと。同じく居酒屋のシーンとかもすごくいいよね?」
土屋「仕事終わりにお父さんと居酒屋で待ち合わせするシーンですね。輪花は自分が遅刻しているのに、だるそうにお店に入ってきて席につき、一息ついてから『お待たせ』って言うんだけど、私のなかでは『お待たせ=待たせてごめん』だから、どうしても焦っちゃう。だけど輪花は『こっちは疲れてるのにそれでも来ているんだから』という思いがベースにあるので『お待たせ』の言い方も、タイミングも変わってきて。そういう考え方や親との関係性もあるのか、おもしろいなと思いながら演じました」
佐久間「『お待たせ』の言い方からも『輪花ってこういう人』とわかりやすいシーンで印象に残っています」