時に美しく時に危うい!観る者をトリコにする、ティモシー・シャラメのいろんな表情を出演作ごとに振り返る
現在主演を務めた『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が大ヒット上映中のティモシー・シャラメ。本作では待望の初来日を果たし、日本のファンを魅了したのは記憶に新しいところだ。高い評価を受けたSF映画の続編『デューン 砂の惑星 PART2』(3月15日公開)も待機中で、今後も活躍が期待されるシャラメ。そこで出世作となった『君の名前で僕を呼んで』(17)をはじめ、過去の主要な出演作を振り返ってみたい。
プレイボーイから人喰いの青年まで…多様な役柄を見事に演じ分けるティモシー・シャラメ
幼少期から子役としてCMや短編映画、ドラマなどに出演してきたシャラメ。彼が出演した映画で初めて日本公開されたのが、あのクリストファー・ノーラン監督のSF大作『インターステラー』(14)だということはご存知だろうか。本作では、マシュー・マコノヒー演じる主人公クーパーの息子であるトムの若いころを演じた。
ティモシー・シャラメの名を一躍世に知らしめたのは、ルカ・グァダニーノ監督の主演映画『君の名前で僕を呼んで』(17)だ。舞台は1983年の北イタリアで、大学教授である父親の助手として一緒に暮らすことになった24歳の大学院生と、彼に想いを寄せる17歳の少年とのひと夏の恋を描く。シャラメと大学院生役のアーミー・ハマーが織りなす甘美なやりとりはせつなくも美しい。シャラメは本作で米アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞など、主要な映画賞の主演男優賞にノミネートされた。
その後、シアーシャ・ローナン主演、グレタ・ガーウィグ監督作『レディ・バード』(17)では退廃的なプレイボーイのバンドマン、カイル役を好演。口八丁手八丁の嘘つき男だけど、シャラメが演じることで実にチャーミングな役柄に。ちなみに『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)でもガーウィグ監督に招かれ、本作では資産家の孫役を好演。ここでもローナンと共演している。
また、グァダニーノ監督と再びタッグを組んだ『ボーンズ アンド オール』(22)では、なんと人肉を食べる青年役に扮した。本作では、見るからに危うい雰囲気をまとったシャラメが観る者を釘付けに。カニバリズム・ホラーではあるが、観終わったあと狂おしいほどの純度の高い愛の尊さが浮かび上がる。
大作の出演も増えたシャラメ、今後の活躍に高まる期待!
いま、まさに劇場で公開中の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は、ロアルド・ダール原作「チョコレート工場の秘密」の主人公ウィリー・ウォンカの前日譚を描いたオリジナル・ストーリーだ。スターオーラ全開のシャラメが魅せる華やかでド派手なダンスパフォーマンスや歌声は観る者を魅了する。
そしてシャラメの最新作は『デューン 砂の惑星 PART2』。本作では父親を殺され、すべてを失った砂漠の王子ポールの運命的な恋と復讐、そして宇宙の命運を賭けた最終決戦が描かれる。メガホンをとるのは、前作に引き続き『メッセージ』(17)、『ブレードランナー 2049』(17)などのドゥニ・ヴィルヌーヴということで大いに期待が高まる。
こうして見ると、同じ監督と組んだ話題作への出演も多く、スタッフ陣からも人望が厚いのではないかと思わざるをえないシャラメ。等身大の若者を軽やかに演じたと思えば、とても繊細なガラスのハートを持つ少年や、人を射抜くような目を持つ危険な役どころなど、様々な役を演じてきたが、あなたのお気に入りのシャラメはどの作品のキャラクター?まだまだ伸びしろがハンパない、今後が楽しみな28歳ということで、ますますエールを贈っていきたい。
文/山崎伸子