GWはアニエス・ヴァルダ、ソフィア・コッポラらの傑作をイッキ見!いま観るべき女性映画作家4人を振り返る

コラム

GWはアニエス・ヴァルダ、ソフィア・コッポラらの傑作をイッキ見!いま観るべき女性映画作家4人を振り返る

“ガーリーカルチャー”といえばソフィア・コッポラ

子どものころは父親のフランシス・フォード・コッポラ作品に出演していたソフィア・コッポラ監督
子どものころは父親のフランシス・フォード・コッポラ作品に出演していたソフィア・コッポラ監督[c]SPLASHAFLO

フランシス・フォード・コッポラがプロデューサーを務めたソフィアの初監督作『ヴァージン・スーサイズ』
フランシス・フォード・コッポラがプロデューサーを務めたソフィアの初監督作『ヴァージン・スーサイズ』[c]1999 by Paramount Classics, a division of Paramount Pictures. All Rights Reserved.

美しき姉妹たちが次々と自殺を遂げてゆく『ヴァージン・スーサイズ』(99)や、遊び心に満ちた独創的な伝記映画『マリー・アントワネット』(06)などで知られ、“ガーリーカルチャー”の代名詞ともいえる映画作家であるソフィア・コッポラ。名作『ゴッドファーザー』(72)を監督したフランシス・フォード・コッポラを父に持ち、『SOMEWHERE』(10)など自身のフィルモグラフィにおいてもセレブリティの孤独に焦点を当てたパーソナルな要素が含まれる作品も多い。クリント・イーストウッドが主演した『白い肌の異常な夜』(71)でも映像化されたトーマス・カリナンの小説「The Beguiled」をコッポラが新たに女性視点で翻案した『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(17)では、女子寄宿学校に負傷した北軍兵士の男が招き入れられ、男/女のあわいで支配/被支配のスリリングな攻防戦が繰り広げられてゆく。

エル・ファニングとスティーブン・ドーフが共演した『SOMEWHERE』
エル・ファニングとスティーブン・ドーフが共演した『SOMEWHERE』[c]2010-Somewhere LLC

キルスティン・ダンストが主演した『マリー・アントワネット』
キルスティン・ダンストが主演した『マリー・アントワネット』[c]2005 I Want Candy LLC.

少女と女性の揺れ動く過渡期を繊細にスクリーンに刻んだ『プリシラ』

ニコール・キッドマン、キスルティン・ダンストらが出演した『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』
ニコール・キッドマン、キスルティン・ダンストらが出演した『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』[c]2017 Focus Features LLC All Rights Reserved

新作『プリシラ』(公開中)では、エルヴィス・プレスリー唯一の妻であったプリシラ・プレスリーの視点から知られざるラブロマンスが描かれている。『The Beguiled』と『プリシラ』はルックはまるで違えども、画面の底流には捕食者と被捕食者の性的闘争があるようであり、1つの屋敷や家に女性が隔離されている舞台もまたコッポラお馴染みの設定だろう。また、異国の地で2人が出逢うオープニングは、東京という異国の地で心許ないアメリカ人の男女が同じ時間を共有する『ロスト・イン・トランスレーション』(03)の再来も感じさせる。『プリシラ』は稀有なシンデレラストーリーでありながらも、そこにはありふれた感情が豊かに詰まっている。コッポラの映画だとすぐにわかる煌びやかな世界観は顕在でありつつ、少女がひとつの失恋を通じて大人の階段を上る、これまでで最もほろ苦い作品となった。コッポラは現代を代表する映画作家の一人として、少女と女性の揺れ動く過渡期を繊細にスクリーンに刻みつづけている。

エルヴィス・プレスリーの妻の視点で描かれるラブロマンス『プリシラ』
エルヴィス・プレスリーの妻の視点で描かれるラブロマンス『プリシラ』[c]The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023


今回は、女性映画作家たちの作品を取り上げたが、Amazon Prime Video チャンネル「スターチャンネルEX」なら、ほかにもアスガー・ファルハディヴィム・ヴェンダースライナー・ヴェルナー・ファスビンダーらの貴重なレトロスペクティブ作品が堪能し放題。さらに映画の世界に深く足を踏み入れてゆくために、これを機にぜひご鑑賞いただきたい。

文/児玉美月

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