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何色にでも染まれる見上愛の”真っ白さ”に注目!『不死身ラヴァーズ』でも変幻自在の魅力爆発

コラム

何色にでも染まれる見上愛の”真っ白さ”に注目!『不死身ラヴァーズ』でも変幻自在の魅力爆発

スクリーンできらめく、見上愛の”真っ白さ”

見上は、世界を変えようとがむしゃらに頑張る女子高生、風子に扮する(『プリテンダーズ』)
見上は、世界を変えようとがむしゃらに頑張る女子高生、風子に扮する(『プリテンダーズ』)[c]2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 [c]高木ユーナ/講談社

見上の活躍はドラマのみならず映画にも広がっていく。『プリテンダーズ』(21)では、ひねくれ者の主人公、花梨(小野花梨)の理解者で親友の風子を演じた。花梨と風子は、あることをきっかけに見知らぬ人たちにドッキリを仕掛け、そのリアクションを撮影しSNSにアップしていく。最初は反響を呼んだ動画だったが、少しずつひずみが生まれ始め…。そんな、2人の女子高生がSNSを武器に社会に物申していくシスターフッドムービーとなっている。筆者は”女子高生”という役は、演じ方の難しさというものがあると思っている。ひとくちに女子高生と言っても十人十色。そんななかでも見上は本作で、「これぞ女子高生だ」という明るさ、はっちゃけ方、鬱屈したもの、何者かになりたいという欲求…そういった想いの発露を鮮やかに演じている。

倉悠貴との共演で、孤独な男女がぶつかり合いながらも心を通わせていく様子を描いた『衝動』
倉悠貴との共演で、孤独な男女がぶつかり合いながらも心を通わせていく様子を描いた『衝動』[c]映画「衝動」製作委員会

そんな『プリテンダーズ』の2か月後には、映画初主演作品となる『衝動』(21)が公開。これは、倉悠貴とのW主演だった。見上が演じたのは、あるトラウマから声が出せなくなり、筆談でしか話せないアイ。そんなアイが福島の地方都市から東京に逃げてきた少年ハチ(倉)と出会い、次第にかけがえのない存在へと変化していく。『プリテンダーズ』も『衝動』も舞台は渋谷で青春を描いた作品だが、そこに既視感は一切ない。当然のことなのかもしれないが、同じ俳優が出ているとは思えない。俳優には少なからず、“パブリックイメージ”というものがありそうだが、見上にはそれがない。まだデビューから間もないながらも、演じる役の幅広さから、そんな”真っ白さ”が感じられる。

時代劇でも重要な役どころで存在感を発揮

確かな演技力は次の作品も呼び込む。2023年に公開された映画『レジェンド&バタフライ』では木村拓哉演じる織田信長の側室、生駒吉乃役を務めた見上。さらに今年は、大河ドラマ「光る君へ」で柄本佑演じる藤原道長の娘、藤原彰子役に抜擢されている。登場はこれからとなるが、「光る君へ」は紫式部の物語であり、彰子は、そんな紫式部が仕える”主”。物語に大きく関わってくるであろうことは想像に難くない。見上が彰子の衣装をまとった姿が公開された際には、「道長(演じる柄本佑)の娘として違和感がない」と話題になっていたが、確かに道長の娘であることが伺えるビジュアルに。

現代劇ではどちらかというとおしゃれな顔立ちの印象であるのに、時代劇となるとガラッと顔の作りまで変わったような印象を受ける。これもまた、”イメージが固定されない”理由なのかもしれない。

2024年に入ってからは出演作が続々

もちろん、ドラマでの活躍も留まることを知らない。1月期のドラマでは「春になったら」に出演。奈緒演じる主人公、瞳の友人である美奈子役を務めた。そして現在放送中となる4月期「Re:リベンジ-欲望の果てに-」では、赤楚衛二演じる主人公、海斗の元同僚、木下紗耶役として登場。なにもかも失った海斗の数少ない理解者であり協力者で、実はひそかに想いを寄せている…、という何重もの役割を担っており、物語のなかでアシスト的ポジションだ。引き続き彼女の役回りに注目していきたいところ。

様々な年代のりのを演じる見上
様々な年代のりのを演じる見上[c]2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 [c]高木ユーナ/講談社

そして、満を持して映画単独初主演となる『不死身ラヴァーズ』では、タイプは様々あれどロートーンな役どころが続いたこれまでとうって変わって、あふれ出す「好き!」の気持ちを隠すことなく、まっすぐにぶつけ続ける天真爛漫な長谷部りのを熱演。幼いころに出会った“運命の相手”甲野じゅん(佐藤寛太)が忘れられずにいるりのは、中学生になりじゅんと再会する。想いを伝え続け、やっとじゅんと両想いになることができたが、その瞬間、じゅんは消えてしまう…。そして、誰もじゅんのことを覚えていない。まるでじゅんがこの世に存在しなかったかのように。その後、じゅんはりのと、高校の軽音楽部の先輩、車椅子に乗った男性、バイト先の店主などまったく別のシチュエーションで、何度も再会していく。その度にりのは、じゅんに恋をし想いを伝えるが、両想いになる度に、じゅんは消えてしまうのだった。

原作コミックではりのとじゅんの立場が逆で、好きになると消えてしまうりのを、理屈抜きで彼女が大好きなじゅんが追いかけ続けている。設定が逆転しているにも関わらず、違和感なく”想う側”のガムシャラさやピュアさを、見上は見事に表現。何度じゅんへの恋を繰り返しても、まるで初めて恋したかのような瑞々しい笑顔をじゅんに向けるりのの底知れぬ純粋さは、見上自身が持つ透明感あってこその輝きと言ってもいいだろう。

実写化までに10年以上かかった本作だが、原作の高木は「見上さんと佐藤さんに出会うために必要な月日だった」と語る
実写化までに10年以上かかった本作だが、原作の高木は「見上さんと佐藤さんに出会うために必要な月日だった」と語る[c]2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 [c]高木ユーナ/講談社

様々な作品で主人公を支える重要な役を演じ、観ている者の心にも残る。そして主演を務めれば唯一無二の存在感を放つ。真っ白なキャンバスをそれぞれのキャラクターの色に染めて劇中で躍動する見上は、『不死身ラヴァーズ』はもちろん、今後出演する作品でどんな表情を見せてくれるのだろうか。


文/ふくだりょうこ

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