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ローラースケートにスカイダイビング、高層ビルからの落下!?ジャッキー・チェンを象徴する危険なアクション6選

コラム

ローラースケートにスカイダイビング、高層ビルからの落下!?ジャッキー・チェンを象徴する危険なアクション6選

『WHO AM I?』/危険度MAXの高層ビル斜面滑り降りアクション

『レッド・ブロンクス』(95)で2度目ハリウッド進出を果たし、『ラッシュアワー』(98)の大ヒットで世界に通用するアクション俳優として認められたジャッキーは、その後もハリウッドと香港、2つの拠点で映画製作を進めることに。ハリウッドでは潤沢な予算で規模の大きい作品に関わり、香港では予算こそ少ないものの、従来通り自身が監督や武術指導を務めるジャッキーらしいこだわりが盛り込まれた作品が作られていく。

そんななかで製作された『WHO AM I?』(98)は、90年代のジャッキー映画の集大成ともいえる1作となっている。南アフリカで作戦中の某国特殊部隊を乗せたヘリが遭難。1名を除いて命を失ってしまう。地元部族に助けられ、1人生き残った隊員は記憶を失っており、自身の素性を知るために旅立つ。しかし、彼が関わっていた作戦は、CIAが絡んだとある機密と関係があった。

記憶喪失になった男がある組織の陰謀を阻止しようとする『WHO AM I?』
記憶喪失になった男がある組織の陰謀を阻止しようとする『WHO AM I?』[c]Everett Collection/AFLO

ジャッキー演じる主人公が自身の名前を聞かれて、「WHO AM I? (俺は誰だ?)」と答えたことから“フー アム アイ”の通り名で呼ばれることになる記憶喪失の男。自分が巻き込まれた事件に絡む組織の陰謀を阻止すべく、そのアジトに乗り込んだフー アム アイは、機密ディスクを手に入れて逃走。追われるまま屋上へと向かい、そこで腕利きの追っ手を相手に2対1のバトルを繰り広げる。ビルの屋上から落ちるか、落ちないかのハラハラ感が続くバトルのあと、追い詰められたフー アム アイはビルのガラス窓の斜面を滑り降りていく。

45度の傾斜がついたビルの側面を21階分滑り降りるアクションは、勢いが出やすいために危険度が高く、ジャッキー自身もベストアクションスタントの一つに挙げている。このシーンもまた、本人が本当に滑り降りることで、ビルの縁に立った瞬間に映像の空気感を一変させている。観客にもその緊張感が伝わり、失敗しないという結果を知っていながらもリアルな危険さに思わず手に汗握ってしまうのだ。

成功するとわかっていても手に汗握ってしまう(『WHO AM I?』)
成功するとわかっていても手に汗握ってしまう(『WHO AM I?』)[c]Everett Collection/AFLO

『ライジング・ドラゴン』/全身ローラースーツを着用し、時速120kmで爆走!

2012年に製作され、ジャッキーが還暦を目前に控えていたことからも「本格アクション映画からの引退作」との触れ込みで公開された、“アジアの鷹”シリーズの第3弾『ライジング・ドラゴン』。中国から持ち出され、世界中に散らばってしまった十二支の動物の頭部ブロンズ像を集めるべく、“アジアの鷹”ことジャッキー演じるJCが仲間と共に行動する。

物語の冒頭、軍隊を動員するある施設から脱出するJCが使用するのは、両手足、胸、背中など全身31か所にローラーが取り付けられた特殊スーツ。JCは高台に作られた施設から飛びだし、峠道を軍の車輌に追われながら下っていく。冒頭で紹介したローラースケートでのカーチェイスの進化版ともいえるこのアクションでも、ジャッキー自らがスーツを着用して最高時速120kmで下り坂を滑り降りていく。腹ばい状態でトラックの下をくぐり、斜めに切り立った壁面を疾走。まだまだアクション俳優として健在であることをその身を以って体現してくれた。

【写真を見る】全身ローラースーツを着用し、時速120kmで斜面を爆走する『ライジング・ドラゴン』
【写真を見る】全身ローラースーツを着用し、時速120kmで斜面を爆走する『ライジング・ドラゴン』[c] 2012 Jackie and JJ Productions Limited, Huayi Brothers Media Corporation and Emperor Film Production Co Limited All rights reserved

『ライジング・ドラゴン』の撮影前には、アクションを封印した『新宿インシデント』(09)や『ベスト・キッド』(10)、辛亥革命を描いた歴史もの『1911』(11)などに出演。この時期のジャッキーは、「アクションしかできない俳優」から脱却し、「アクションも演技もできる俳優」になるべく奮闘していた。そんななかで、「本格アクション映画からの引退作」という触れ込みが「まだまだアクションもやれる」という証明につながったとも言えるだろう。

本作のクライマックスではスカイダイビングのシーンが登場するが、強風を発生させるスカイダイビング体験装置を使用して空中でのお宝争奪戦を表現。さらに、着地時にはエアクッション付きのスーツで火山の斜面を転がり落ちるなど、後半でも危険なアクションスタントを見せつけてくれる。ジャッキーの気概を十分に味わうことができる1本だ。


アクションスタントマンに対する敬意が込められた作品でもある『ライド・オン』。本作と合わせてこれらの作品を改めて観直せば、ジャッキーのスタントへの深いこだわりをより感じ、込められたメッセージも強く受け止めることができるはずだ。

文/石井誠

ジャッキーの新作は、とてつもなく泣けるらしい。『ライド・オン』特集【PR】

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