『ミッドナイトスワン』の服部樹咲主演『BISHU 〜世界でいちばん優しい服〜』10月11日公開決定
服部樹咲が長編映画で初主演を務める『BISHU 〜世界でいちばん優しい服〜』が10月11日(金)より公開されることが決定した。
本作は、尾州ウールの織物工場を営む家族の物語。愛知県一宮市のある尾州地域は、世界三大毛織物(ウール)の産地として世界的に注目されているが、昨今、様々な問題や課題に悩む工場や企業が少なくない。そんな尾州の背景をもとに、諦めずに挑戦し家族を支えたいと願う娘と、工場の閉鎖を余儀なくされる父親の、葛藤と希望を描いたオリジナルストーリーとなっている。
13歳の時に出演した映画『ミッドナイトスワン』(20)で演技未経験ながら類い稀な存在感で一躍注目を集めた服部が、今年18歳を迎え、本作で長編映画初主演を飾る。服部は、発達障害と向き合いながらも、純粋で豊かな感性を持つ高校生、史織を演じる。幾多の壁にぶつかりながらも、自らデザインした服を作り家族のために役に立ちたいと、挑戦することを恐れず懸命にまっすぐに突き進む史織を、個性的な存在感はそのままに、これまでの数々の作品での経験をぶつけ挑む。また、姉役に岡崎紗絵が出演。服部樹咲と岡崎紗絵は共に愛知県出身。さらに父親役に吉田栄作が出演。服部、岡崎、吉田栄作といった、個性豊かな面々が演じる物語が幾重にも紡がれウールのような暖かさでスクリーンを包み込む。
岡崎演じる布美は、東京でファッションデザイナーとして自身のブランドを展開するも行き詰まり地元に戻ってくる。そんな人生ドン底のなかで、「自分のデザインで服を作りたい」と言いだす妹の史織。布美は日常生活でさえ誰かのサポートが必要な史織への心配、そして自分の挫折した経験を史織に重ね、応援したい気持ちと背中を押してあげられない気持ちに板挟みに。そんな布美を岡崎は丁寧に演じ、姉妹の絆や、家族の愛を表現する。
さらに吉田栄作演じる姉妹の父親、康孝は、娘たちを思う気持ちが素直に出せず、社会の厳しさを身をもって教え、娘たちを時に怒鳴り、突き放す。織物工場を営みながらも経営難に追い込まれ、他界した妻との約束を守ろうと娘との暮らしを支え踏ん張っており、その康孝の人生の深みが本作の大きな柱となる。
プロデューサーの森谷雄は、日本アカデミー賞最優秀作品賞ほか数々の賞を総なめにした『ミッドナイトスワン』以来の服部とタッグ。そして監督を、東京藝術大学大学院の修了制作品『向こうの家』(19)が、ええじゃないかとよはし映画祭初代グランプリを受賞したほか、数々の賞で注目を集めた西川達郎が担当。本作では一宮ロケでの映像美とともに、登場人物の繊細な感情を丁寧に紡いでいく。全編尾州地域で撮影され、ファッション業界からは、新人デザイナーの登竜門である装苑賞を2022年に受賞した岐阜県出身の大下彩楓が参加、音楽は、坂本龍一に認められた小山絵里奈が手掛け、その旋律が映像を包み込み優しく叙情的な作品に仕上がった。
この秋、日本中にウールのような温もりで“あきらめない”メッセージを届けてくれる本作。登場人物の想いを紡いでできあがった物語を、ぜひ劇場で味わってほしい。