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『小さな恋のうた』から『ゴールデンカムイ』『ブルーピリオド』まで!進化し続ける俳優、眞栄田郷敦のストイックさに迫る

コラム

『小さな恋のうた』から『ゴールデンカムイ』『ブルーピリオド』まで!進化し続ける俳優、眞栄田郷敦のストイックさに迫る

主人公の情熱、葛藤を完全に憑依させた『ブルーピリオド』

このように役者として近年ますます存在感を高めてきた眞栄田の最新出演映画が『ブルーピリオド』だ。流されるままソツなく器用に生きてきた男子高校生の矢口八虎は、ある1枚の絵をきっかけに美術の世界へと足を踏み入れる。そして国内最難関の東京藝術大学への進学を目指して邁進するのだが、壁にぶち当たりながらも絵画への情熱だけを頼りに自分だけの絵画スタイルをつかみ取っていく。仲間との友情、進路への迷いなど、悩み、葛藤しながらも“好きなこと”に真っ向から向き合う姿が胸を打つ感動の青春ドラマとなっている。

1つ年上の先輩、森まるが描いた“祈り”がテーマの絵に影響を受ける(『ブルーピリオド』)
1つ年上の先輩、森まるが描いた“祈り”がテーマの絵に影響を受ける(『ブルーピリオド』)[c]山口つばさ/講談社 [c]2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会

八虎を演じるにあたって眞栄田は撮影の半年前から絵画を猛練習し、撮影でも吹替えなしで自ら筆をとった。彼はのちに「八虎と一緒に絵を始め、そして一緒に苦しんだ」と心血を注いで臨んだ撮影期間について振り返っているが、絵画練習では指導を行った講師も舌を巻くほどの集中力を発揮し、その姿は八虎そのものだったという。

絵画練習では指導を行った講師も舌を巻くほどの集中力を発揮したという(『ブルーピリオド』)
絵画練習では指導を行った講師も舌を巻くほどの集中力を発揮したという(『ブルーピリオド』)[c]山口つばさ/講談社 [c]2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会

これまでも役柄の人生をたどるような役作りを大切にしてきたという眞栄田。八虎を演じるにあたっては、金髪であることの意味まで掘り下げて考えていくことで1人の人間として肉付けしていった。そんなストイックな役作りにおいて、かつてプロのサックス奏者になることを夢見て藝大受験したこともあるという自身の経験が役柄を理解する一助になったことは想像に難くない。眞栄田は八虎との共通項を「“自分だけにしかできない表現”を求めて努力する人」だと語っている。


とにかく1枚でも多く描き続ける八虎(『ブルーピリオド』)
とにかく1枚でも多く描き続ける八虎(『ブルーピリオド』)[c]山口つばさ/講談社 [c]2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会

眞栄田はその謙虚な姿勢と絶え間ない努力で様々なキャラクターに息吹を与えてきた。すでに役者としてのセンスとあふれる魅力を兼ね備えながらも、30歳からが俳優としての本格的なスタートだと見据える彼が、今後どんなサプライズを披露してくれるのかいまから期待して待ちたい。

文/足立美由紀

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

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