『マッチング』で描かれる情報化社会のリアルな恐怖…何度も観返したくなる映画たちの魅力に迫る
多くの人が利用する”マッチングアプリ”に潜む闇を浮き彫りに…
『マッチング』も作品のベースにあるのは、テクノロジーの進化によって増大するセキュリティの危険度。解析能力の向上によってわずかなヒントから多くの情報を入手可能になった現在、個人レベルで悪意を持った攻撃者から身を守るのは困難だ。吐夢は輪花が自分のメールを無視するようになると彼女の住所を特定し、突然自宅を訪問する。思わず背筋が寒くなる、ショッキングな一幕だ。
そして情報を管理する側のモラルに言及しているのも本作の特徴。マッチングサイトの管理者が、“パトロール”と称して会員同士のやりとりを覗き見する姿にもネット社会の闇が見て取れる。匿名性の担保を前提に浸透してきたネット社会だが、情報を運営しているのはあくまでも人間。改めて情報管理の大切さを思い知らされる。
交錯する登場人物たちの思惑にも注目
本作に登場する人々はそれぞれが秘密や闇を抱えており、それがドラマに奥行きを与えている。誰が敵か味方か予測しづらく、時に明かされた謎や回収した伏線がひっくり返されるなど、二転三転する展開でラストカットまで観る者を翻弄。2周目以降は、さりげないセリフの抑揚、目や表情の些細な変化に注意しながら鑑賞すると映画がより深く楽しめる。時に静止したり巻き戻したりするなど、再生ペースを自由にコントロールできるのはパッケージならではだ。Blu-ray、DVD共に豪華版には映画の裏側を追ったメイキングのほか、土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキの3人と内田英治監督によるビジュアルコメンタリーも収録されており、スタッフ&キャストが映画に込めた想いも確認できる。
加速度的に進化していくテクノロジーの綻びを突くように、進化を遂げてきたサスペンス映画。1000億円の市場規模を誇るというマッチングアプリを題材に、人の心の闇を描いた『マッチング』はまさに鮮度100%。いまだからこそ最高の形で味わえるスリルをじっくり体感してほしい。
文/神武団四郎
映画『マッチング』
9月20日(金)発売:マッチング Blu-ray豪華版(特典Blu-ray2枚付) 9,020円(税込)
DVD豪華版(特典DVD2枚付) 7,920円(税込)/DVD通常版 4,400円(税込)
発売元・販売元:KADOKAWA
[c]2024『マッチング』製作委員会
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