名曲が彩る友情ストーリー!アース・ウィンド&ファイアー「セプテンバー」と『ロボット・ドリームズ』の親和性に迫る

コラム

名曲が彩る友情ストーリー!アース・ウィンド&ファイアー「セプテンバー」と『ロボット・ドリームズ』の親和性に迫る

離ればなれとなったドッグとロボットの心情を「セプテンバー」が表現

アメリカのR&Bバンド、アース・ウィンド&ファイアーが1978年に発表した「セプテンバー」は、世界的に大ヒットした彼らの代表作。そのファンキーでポップなサウンドは、当時ブームだったディスコで人気を呼んだ。ベルヘルはドッグとロボットのテーマソングになるような曲を探して、ふと頭に浮かんだのがこの「セプテンバー」だった。

あの時過ごした、大切な人をいまも覚えていますか?
あの時過ごした、大切な人をいまも覚えていますか?[c]2023 Arcadia Motion Pictures S.L., Lokiz Films A.I.E., Noodles Production SARL, Les Films du Worso SARL

「セプテンバー」は「Do You Remember?(覚えているかい?)」というフレーズから始まって、恋人と9月に出会って楽しく踊り明かした日のことが回想される。『ロボット・ドリームズ』は月ごとに物語が展開して、ロボットが海で動けなくなるのが9月。離ればなれになったあと、なかなか出会えないロボットとドッグの相手を思う気持ちがどんなふうに変化していくのか。それが重要なところであり、大切な人との出会いや楽しかった日々を思いだす「セプテンバー」の歌詞が、物語が進むに連れて大きな意味を持ち始める。セリフがない映画だけに、歌詞がドッグやロボットの心情を表現しているようだ。

映画を観終わったあと、「セプテンバー」への印象も変わるはず


初めて付き合った恋人や学生時代の友だちなど、様々な事情でいまは会わなくなってしまったけれど、彼らと過ごした楽しい時間をふと思いだす、というのは誰もが経験していること。だからこそ、なかなか再会できないドッグとロボットのすれ違いに人生を感じたりもする。また、劇中にはオリジナルだけでなく、ピアニストのペーテル・ベンツェ、本作の音楽を担当したアルフォンソ・デ・ヴィラロンガによるアレンジ曲も使用され、それぞれの場面に寄り添い彩っていく。そして、映画を観終わったあとには「セプテンバー」が踊れる曲から泣ける曲へと変わっている。

それくらい「セプテンバー」は、本作にとって重要な曲だ。しかも、歌詞に「覚えているかい?9月21日の夜のことを」という一節があるが、その日は偶然にもベルヘルの娘の誕生日だった。「セプテンバー」が『ロボット・ドリームズ』に使われるのは運命だったのかもしれない。

文/村尾泰郎

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